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「___。」
言葉というのは時に残酷で、息をすることさえできなくなる。
武器の要らない凶器だ。
『……ゴホッ、ゲホ…ぉぇ…ッ』
「A!」
『だい、じょぶ…で、す』
Aは口元を抑え数回咳込む。
その様子に慌てて立ち上がり背を摩ろうとする土方に、Aは片手を上げて制し、触れることを許さなかった。
口の中で数枚の花弁が在ったがそれを無理矢理飲み込み、胎の中へと戻した。
そして『土方さん、』と彼の名を呼ぶ。
『花吐き病の良いところはね、嘘をつかないところなんです』
『土方さんは私を好きにはならないし』
『わざわざ嘘をつかなくていい』
困った様にニッと笑って見せる彼女に今度は土方が顔を歪めた。
違う、Aを傷付けたかった訳じゃない。
そんな顔をさせる為に、言ったんじゃない。
質の悪い悪戯でも、意地悪でもない。
否定したいのに言葉が出ない。
Aはそんな土方にまた優しく微笑み言葉を続けた。
『それで良いの』
『ただ時々思い出して欲しいんです』
『貴方の事を好きになった女が居た事を』
彼女は気丈だった。
土方が思うよりもずっと。
『我儘でごめんね』
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アカツキ(プロフ) - 美姫さん» コメント有難うございます。登場キャラの想いが交差してぐちゃぐちゃに絡まるような、そんなお話にしたかったのですが難しかったです... 最後まで読んでくださり有難うございました (2023年2月12日 10時) (レス) id: 359e2a8a6b (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 切なくて切なくて、でもとても美しい作品で、涙が止まりませんでした。本当に最高の作品でした。ありがとうございました。 (2023年2月12日 7時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - おひなさん» 初めまして。コメント有難うございます。土方さん落ちは久々だったのでこれで良いのか迷走しましたが、おひなさんの暖かい言葉に救われました (2023年2月9日 7時) (レス) @page49 id: 359e2a8a6b (このIDを非表示/違反報告)
おひな(プロフ) - 最っ高な作品をありがとうございました!終始涙腺崩壊でした!w (2023年2月9日 2時) (レス) @page49 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2022年12月27日 23時