18. ページ19
「A〜〜〜!! 心配したアル!!」
目が覚めた時には病院のベッドの上で、見舞いに来てくれた神楽がAに飛び乗るように抱き着いた。
「具合悪かったアルカ?」
その質問に、己が花吐き病である事を知らないのだと理解し、『少しね』と困ったように笑って見せた。
「急に知らせが来た時は驚きましたよ」
『銀時も来てるの?』
「あ、はい… 一緒に来たんですけど購買に行くって言ってそのまま」
『そう』
腕には点滴の針が刺さっていて、点滴パックと管の間でポタポタと薬が垂れている。
それをぼうっと見ていると銀時が部屋に入ってきた。
「よォ、調子はどう?」
『ぼちぼちかな』
「そ。そりゃ良かった」
銀時は冷たい口調だった。
それはその場に居る誰もが「怒っている」と理解する。
しかしそれでもAは気にしない様子で話を続けた。
『私が病院に運ばれた知らせが来たって言ってたけど、誰から?』
「土方」
『え?! 何で?!』
「何でも何も、お前……。彼奴等が救急車呼んだんだろうが」
「覚えてねぇの?」なんてぶっきらぼうに付け加えて、購買で買ってきたであろういちごミルクのパックにストローを刺した。
覚えているような、覚えていないような。
「お前さ、」
『あ! そうだ、思い出したかも』
「……」
銀時の言葉に被せるように少し大きめの声を出すAに口を閉ざす。
『情けない所見せちゃったなぁ…』
「今更だろ、居酒屋でもやってんだから」
『うわ、そうだった』
「あの、本当に大丈夫なんですか? 何かの病気とか…」
『あーあー、ごめんね新八くん。本当に何でも無いの、大丈夫』
「…なら良いんですけど」
ズゴゴゴ、といちごミルクを飲み干した銀時は立ち上がってAを見下ろした後小さな溜息を吐き出した。
そのまま隣に置かれたゴミ箱へ潰したパックを投げ捨てる。
「んじゃ、俺たちもそろそろ帰るぞ」
「はい、Aさん、お大事に」
部屋を出て行く銀時と新八に軽く手を振り見送ったが、神楽は出て行かなかった。
『神楽ちゃん?』
「マミーも同じこと言ってたネ」
『…?』
「皆、「大丈夫じゃない」のに「大丈夫」って言うヨ」
そんな事を言うとは思ってなくて、何か言葉を返そうにも神楽は二人を追い掛けるように小走りで部屋から立ち去った。
---
138人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アカツキ(プロフ) - 美姫さん» コメント有難うございます。登場キャラの想いが交差してぐちゃぐちゃに絡まるような、そんなお話にしたかったのですが難しかったです... 最後まで読んでくださり有難うございました (2023年2月12日 10時) (レス) id: 359e2a8a6b (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 切なくて切なくて、でもとても美しい作品で、涙が止まりませんでした。本当に最高の作品でした。ありがとうございました。 (2023年2月12日 7時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - おひなさん» 初めまして。コメント有難うございます。土方さん落ちは久々だったのでこれで良いのか迷走しましたが、おひなさんの暖かい言葉に救われました (2023年2月9日 7時) (レス) @page49 id: 359e2a8a6b (このIDを非表示/違反報告)
おひな(プロフ) - 最っ高な作品をありがとうございました!終始涙腺崩壊でした!w (2023年2月9日 2時) (レス) @page49 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アカツキ | 作成日時:2022年12月27日 23時