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朝、土方はいつものように起きて、Aと共に部屋で朝食を取り、朝礼を済ませた。
その後彼女から出掛けるからと言われ「行ってらっしゃい」と見送ったのだ。
「巫山戯やがって......ッ!!」
怒りを露わにするのも無理はない。
書類に追われている土方に山崎が慌てて駆け込んで来ては、そのAが高杉の元に連れられたと聞いたのだ。
「どうしますか副長」
「行くに決まってんだろ」
「でもッ!! 局長には」
「御前の方で報告しろ、隊の編成は総悟に任せる」
バサッ、と隊服を翻し羽織る。
土方はそのまま彼には目もくれず部屋を出て行った。
そんな土方の後ろ姿に山崎は何も言えず見届けるのだった。
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「随分と早い御到着だな」
『怒ってるんでしょうね...』
「違ェねぇ」
『貴方にじゃなくて、私にですよ』
「安心しな、一緒に怒られてやらァ」
『嘘吐き』と彼女に言われ、高杉は楽しそうに笑う。
あながち嘘でもないが、まぁそう思われても仕方ないだろう。
高杉の言う通り、外の方で何やら騒がしい音が聞こえる。
内心、Aはドキドキしていた。
『(本気で怒った彼ほど、怖いものは無い)』
血に塗れ、瞳孔の開いた瞳に睨まれてしまったらそれこそ蛇に睨まれた蛙である。
『...まだ、蛇の方が可愛げがあるかも』
小声で呟いたそれは高杉に聞こえているのか居ないのか、反応はなかった。
「A......ッ」
例え動けなくなったとしても、その声に呼ばれればその人の元へ行くしかない。
被食者の残酷な本能だ。
『(それも悪くない)』
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アカツキ(プロフ) - -sara-さん» 此方の作品も読んで下さり、そしてコメントまで有難うございます。夢主ちゃんは皆様のご想像の中で存在して欲しいので詳しく設定等は記載しないのですが、sara様の頭に夢主ちゃんが浮かんでくれて嬉しいです! お褒め頂き光栄です、有難うございます (2021年8月16日 8時) (レス) id: 2cb0f29e5d (このIDを非表示/違反報告)
-sara-(プロフ) - こちらにも、こんばんはm(*_ _)mどうやら、私はアカツキ様の土方さんが大好きな様です(笑)元々好きではありましたが、素敵すぎます!あと、ヒロインちゃんも凄く好きです!なんか、映像として頭に浮かんできちゃいます。最後の「猛獣使い」が個人的に大好きです! (2021年8月16日 3時) (レス) id: 7c2d2afbf6 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - あめちゃんさん» コメント有難うございます、無事完結する事が出来てホッとしています。久々に土方落ちを書いた気がしますが、なかなかに楽しかったのでまたいつか出したいですね。応援有難うございました (2021年2月16日 16時) (レス) id: adf8f89573 (このIDを非表示/違反報告)
あめちゃん(プロフ) - アカツキさん» 完結おめでとうございます!!土方さんの良さがすっごいよく表現されていて、いつも読む手が止まりませんでした。私の作品も読んでいてくださりありがとうございます!こちらも頑張ります!改めて、完結おめでとうございます。 (2021年2月16日 15時) (レス) id: beda8b3808 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 東雲 晄さん» コメント有難うございます、途中文章ミスがあり申し訳ありませんでした... ご指摘有難うございました。またご縁がありましたら作品を読んで頂けると嬉しいです (2021年2月16日 7時) (レス) id: 3bd9d4536b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2021年1月25日 23時