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『起きて!! 起きて、十四郎さん!!』
未だ布団で眠る土方の体を揺すりながら彼の名を呼ぶ。
気持ち良く寝ていた土方も思わず顔を顰めながら目を開けた。
「......何だ、ンなに慌てて」
『外!! 外!! 凄い雪ですよ!!』
「はァ?」
土方は上体を起こし、興奮するAを横目に外の方を見る。
襖で閉じられたそこはどれくらいの雪か確認することは出来ないが道理で寒いはずだと理解した。
「もう少し寝る」
『私はもう起きるので、私の布団も使ってください』
「重......、片付けさせる為だろ」
『ふふ、バレた? でも暖かいでしょ?』
確かに暖かいは暖かいのだが、文句を言おうにも彼女がクスクスと悪戯に笑うもんだから土方は何も言えなくなる。
部屋を出て行く彼女が襖を開けば、隙間から冷気が入り込み身を縮めた。
「......彼奴の匂いがするな...」
彼女の布団を顔近くに引き寄せ、その温もりと共にまた夢の中へと落ちていった。
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『はぁーーー...』
吐き出した息が白い煙になって空気の中に溶けていく。
その様子が面白くて、彼女は何度も息を吐き出した。
「ひぃ〜〜〜、寒ィ〜〜〜」
『近藤さんおはようございます』
「おぉ、Aちゃんおはよう!! 早起きだね」
『近藤さんこそ』
「俺はお花を摘みに」
『あぁ、トイレですね』
あぁ!! 折角オブラートに包んだのに!!、なんて言う近藤だったがAからすれば別に包む必要はないのでは?、とも思う。
『雪、積もりましたね』
「そうだねぇ、パトカーのタイヤにチェーン付けないと...」
『その前に雪掻きもしないとですね』
近藤は溜息を吐いて億劫そうな顔をするが彼女は何処か嬉しそうだった。
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アカツキ(プロフ) - -sara-さん» 此方の作品も読んで下さり、そしてコメントまで有難うございます。夢主ちゃんは皆様のご想像の中で存在して欲しいので詳しく設定等は記載しないのですが、sara様の頭に夢主ちゃんが浮かんでくれて嬉しいです! お褒め頂き光栄です、有難うございます (2021年8月16日 8時) (レス) id: 2cb0f29e5d (このIDを非表示/違反報告)
-sara-(プロフ) - こちらにも、こんばんはm(*_ _)mどうやら、私はアカツキ様の土方さんが大好きな様です(笑)元々好きではありましたが、素敵すぎます!あと、ヒロインちゃんも凄く好きです!なんか、映像として頭に浮かんできちゃいます。最後の「猛獣使い」が個人的に大好きです! (2021年8月16日 3時) (レス) id: 7c2d2afbf6 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - あめちゃんさん» コメント有難うございます、無事完結する事が出来てホッとしています。久々に土方落ちを書いた気がしますが、なかなかに楽しかったのでまたいつか出したいですね。応援有難うございました (2021年2月16日 16時) (レス) id: adf8f89573 (このIDを非表示/違反報告)
あめちゃん(プロフ) - アカツキさん» 完結おめでとうございます!!土方さんの良さがすっごいよく表現されていて、いつも読む手が止まりませんでした。私の作品も読んでいてくださりありがとうございます!こちらも頑張ります!改めて、完結おめでとうございます。 (2021年2月16日 15時) (レス) id: beda8b3808 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 東雲 晄さん» コメント有難うございます、途中文章ミスがあり申し訳ありませんでした... ご指摘有難うございました。またご縁がありましたら作品を読んで頂けると嬉しいです (2021年2月16日 7時) (レス) id: 3bd9d4536b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2021年1月25日 23時