【銀魂】その男、獣につき

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1つの布団に2人。
布団に包まる土方の中に更に包まっているのがAである。









『......あのね、十四郎さん』




「ん、」








静かな時間を過ごしていたが、それを壊したのは彼女だった。
土方に関しては眠気があるのか、気の抜けた返事をする。









『...今度、お祭りがあるんだって』

「祭り? まだ季節じゃねぇだろ」

『そうですよね...、でもその人、私たちを【招待】するって』

「.........? おい、誰の話をしてんだ?」









Aの話に土方はAの方を見るが、この体勢では彼女の旋毛しか見えない。
それでも彼女は質問に答える。









『高杉、晋助って人』







　



高杉? 高杉晋助って言ったか? あの? 同姓同名とかではなく? 祭りってなんだ? Aと俺を招待するだと?



土方の脳内ではあらゆる疑問が頭の中を駆け巡り言葉が出ない。
Aの『十四郎さん?』と呼び掛けに現実へと引き戻されたが、同時に血の気が引く。





　






「お前ｯ、彼奴に会ったのか?!」
「何もされてねぇだろうな?!」







　




向かい合わせになるように彼女の体を半回転させ確かめる。
Aは驚いた顔をしていたが、何も無いですよと優しく告げる。



　







『大丈夫、ですよね...』








　


少し不安な声色に、土方は彼女を抱き寄せた。
抱き寄せられたAは土方の胸に耳を押し当て心臓の音を聞く。
彼の心拍音は落ち着くのだ。



　









「大丈夫だ、何があっても」
「お前だけは、俺が護る」


　








Aは何も言わない。



　



　



「横取りなんかさせるかよ」

　









それはまるで餌を奪い合う獣2匹に挟まているみたいだ。




　







『(寧ろ、高杉さんにとっては)』
『(私を餌に十四郎さんをおびき出そうとしてる気がする)』







　





不安は消えないまま、土方の心臓音が彼女の体をやけに大きく揺らした。









　


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