【銀魂】その男、獣につき

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その後土方は自身の携帯の着信に直ぐにその場を後にした。
理由は聞かずとも何となく分かる。




『また、沖田くんが何かやらかしたかな...?』





幸い残された団子はマヨネーズの被害にあっていない。
しかしながら彼女の腹はとうの昔に満たされている。
残す訳にもいかないのでどうしたものかと考えていると、知った顔が前から見えた。






『万事屋さーん』

「ぁ〜? お、Aじゃん、何、良いもん食ってんね?」

『良ければ食べませんか?』

「良いの?」




良いも何も、Aからすればそちらの方が有難いと何度も頷いた。
そう言われて断る理由は無い、と銀時もまた席に着いてその団子を頬張った。






「一人?」

『まぁ、見ての通り...』

「ふーん...、にしては随分沢山注文したな」






鋭い。
これではまるで事情聴取でもされてるみたいだ。







「土方と一緒だった、とか?」






これ以上ぼろを出さない様にと飲み込み掛けていたお茶がその言葉に寄って器官へと誤飲する。






『ｹﾞﾎｯ、ｹﾎｯ......!!』

「おっ、おいおい!! 大丈夫かよ?!」

『万事屋さんがｯ、変なこと、言うから...!!』






銀時はポカンと間抜けな表情を晒した。
変なことなど何一つ言ってなどいない。
普通に考えればその回答に至るのだ。







「あー...、そっか、これ秘密なんだっけ」







団子を最後の一つ完食すると今度は妙に納得したようにそう零した。
Aはと言えば未だに器官に入ったお茶が気になるのか喉を抑えている。







「旦那ァ、随分良い女性をお連れで」

「いや、何言ってんの、お宅の所の"姉御"でしょ」

「ありゃ? もうバレちまったんですかィ?」






沖田の登場に驚きつつも、土方との関係がバレてしまっていることに苦笑いを浮かべる彼女にまたしても銀時が言葉を投げる。







「あのさ、俺が言うのもなんだけど」
「この状況、あんま良いとは言えないと思うんだけど? 大丈夫なの?」



「残念ですが、姉御に浮気なんてする度胸も勇気もありやせん」



「うわ、折角銀さんがオブラートに包んだってのにはっきり言っちゃったよ」
「しかも被害がAの方に行っちゃう感じ? なんかご免ね?」







誠意の篭っていない謝罪にも、彼女は苦笑いを浮かべた。





『しませんよ、そんなこと』







『(浮気なんてしようものなら何されるか分かったものじゃないけどね)』






その本音はそっと胸の内に隠した。









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