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『まあこれは今度行くとして、晩飯行かんか、今日』
「えっ、」
思わず出た声が、一人暮らしの部屋にぽつりと響く。今日？ 今から？
いや別に、まだ昼過ぎなのだから、夜に予定を入れることについては何も問題ない。
もともと久々の何もない休日をだらだらとして過ごすつもりだったし。
ただそれとこれとは話は別で。ゼミの同期という仮面を被せて建前で一線を引いていた相手からの、思いもよらない誘い。
そんなの舞い上がるなと言う方が無理な話で。
『どこに行くの』
『Aちゃんに任せる』
いてもたってもいられずに、行きたい店をリストアップしたメモを開きながら、今晩はどこに行こうかなんて目星を付ける。
最近はずっとインスタ映えしそうなお洒落なお店ばかりに行っていたから、がっつりしたものはどうだろう。
『じゃあハンバーグ、どう？』
『ええなあ』
無機質な文字に、治くんのあの食べ物を前にしたらきらきらと輝き始める瞳が滲んでいるような気がする。
そうと決まればさっそく準備だ。
手早く集合時間と場所を決めて、私は携帯をベッドに放り投げて。
「──デート？」
気付いてしまった。
いや、今までも二人で何度もご飯にいったのだから、それをデートとカウントすることはできる。
或いは、これだってただのゼミ同期とのご飯で片づけてしまえる。
それなのに、いつもよりこんなにクローゼットの前に立ち尽くして何を着ようか考えてしまうのは、どんなメイクをしようかと悩んでしまうのは。
いつも通りの突然の誘いで、いつも通りのご飯の誘い。
それは頭ではしっかりとわかっているのに。
ただ休日で、何かのついでではないという、それだけのイレギュラーがすでに私をぐちゃぐちゃとかき乱していた。
なんだかいつもよりらしくなくかわいい服を選んでしまったのも、少しだけきらきらとしたメイクになってしまったのも、ただ恋という名前を付けるだけ付けて心の奥底に無理やり沈めている感情の所為以外の何物でもない。
「……期待させないでよ、バカ」
押し込めた心に、釣り針をひっかけられた気がした。
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雛(プロフ) - ネオンガールさん» ありがとうございます！よかったです！！！ (2018年12月24日 18時) (
レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - Blueさん» そう言っていただけるとこちらとしても非常に嬉しいです！最後までお付き合いいただきありがとうございました(；；)次回作も鋭意準備中ですので、楽しみにお待ちいただけたらと思います！ (2018年12月24日 18時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
ネオンガール(プロフ) - 雛さん» めっちゃキュンキュンしました！！笑 (2018年12月24日 12時) (レス) id: 18c4f82065 (このIDを非表示/違反報告)
Blue - この作品のおかげで治くんがめちゃくちゃ好きになりました。作品の完結おめでとうございます！お疲れ様でした！そして、書いて下さりありがとうございました！次回作も楽しみにしています！！ (2018年12月24日 1時) (レス) id: 82a4b13a9b (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 彩兎さん» コメントと労いのお言葉たいへん嬉しいです。恋愛はもちろんですが、食について掘り下げたお話にしたかったので、少食に共感していただけるとこちらも書いた甲斐があるなと思います。こちらこそ最後までお付き合いいただきありがとうございました！ (2018年12月24日 0時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作者ホームページ：https://twitter.com/pp__synd
作成日時：2018年11月4日 17時
