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“Aちゃん、飯行かん？”
そんな誘いが常套句となってしまうくらいには、私は治くんと何度も外食に行った。
夏休みだなんて言うくせに、しょっちゅうゼミの招集や集中講義で頻繁に大学に来ることを強制されて辟易していた私にとって、治くんと美味しいものを食べに行くことは日々の些細な楽しみになっていたのだ。
己の少食がために行くことを躊躇っていた店はいっぱいあったから、治くんから外食に誘われるたびに、それをひとつずつつぶしていった。
のだが。
久々の何もない休日にかまけて昼過ぎまで寝ていた私は、起き抜けに携帯を触って、浮かんだ通知に思わずベッドから転げ落ちた。
『Aちゃん、かき氷好き？』
治くんからのもの。
私と治くんのトークルームは、ひたすらに治くんがミスターコンの宣伝に使えそうな食べ物の写真で埋まっていたから、驚いた。
しかも、私が行きたくても行けなかった店ばかりを回っていたから、まさか治くんからそういう誘いが来るとは思ってもいなかったのだ。
慌てて既読をつけて、とりあえず返事をする。
『好きだよ、かき氷！』
『おはよう』
支離滅裂なやり取りに、つい笑ってしまったけれど、最初のメッセージが来ていたのは朝の九時だった。非常に申し訳ない。
『ほんとにごめん』
『別に今日やなくてもええから、別に』
どうして「別に」を二回打ってきたのかは分からなかったけれど、ありがたくその言葉に甘えることにする。
『かき氷って？』
枕元に置いたメガネをかけて、ベッドに腰掛けた。
さてかき氷の店なんて探せばいくらでもあるだろうに、彼は私をどこに連れて行く気なのだろう。
そう思って既読のついた画面を眺めていたら、すぐに店の住所が送られてきた。
「……あー、ここか」
確かおととしオープンした店だ。毎年毎年凍らせたイチゴを削る百パーセントイチゴでできたかき氷を売りにしているところ。
オープンした年の夏に一度だけ友人と行ったことがあるが、これはめちゃくちゃおいしかった。
記録的、なんて言われるこのクソ暑い夏にはちょうどいい。
そう思って、ちょっとルンルンになりながら送った了承には、思いもよらぬ返事が返ってきた。
『まあこれは今度行くとして、晩飯行かんか、今日』
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雛(プロフ) - ネオンガールさん» ありがとうございます！よかったです！！！ (2018年12月24日 18時) (
レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - Blueさん» そう言っていただけるとこちらとしても非常に嬉しいです！最後までお付き合いいただきありがとうございました(；；)次回作も鋭意準備中ですので、楽しみにお待ちいただけたらと思います！ (2018年12月24日 18時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
ネオンガール(プロフ) - 雛さん» めっちゃキュンキュンしました！！笑 (2018年12月24日 12時) (レス) id: 18c4f82065 (このIDを非表示/違反報告)
Blue - この作品のおかげで治くんがめちゃくちゃ好きになりました。作品の完結おめでとうございます！お疲れ様でした！そして、書いて下さりありがとうございました！次回作も楽しみにしています！！ (2018年12月24日 1時) (レス) id: 82a4b13a9b (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 彩兎さん» コメントと労いのお言葉たいへん嬉しいです。恋愛はもちろんですが、食について掘り下げたお話にしたかったので、少食に共感していただけるとこちらも書いた甲斐があるなと思います。こちらこそ最後までお付き合いいただきありがとうございました！ (2018年12月24日 0時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作者ホームページ：https://twitter.com/pp__synd
作成日時：2018年11月4日 17時
