六十三 ページ18
「取り戻すおつもりなんでしょう?えーと...なんでしたっけ、あなたのお気に入りの玩具。」
まだ腐臭の取れない戦艦内で、男は粘着質な声でそう言った。
以前情報を買ったあの男である。
あまり自ら現場に赴くタイプではなかった。情報を買う時はいつもAの売買されていた例の戦艦で落ち合う段取りになっていたし、その方がお互いやりやすかったからだ。
けれどどういう風の吹き回しか、わざわざ鬼兵隊の戦艦まで足を延ばしてきた。
...裏があるとみてまず間違いないだろう。
正直、今こちらはそれで頃ではない。こんな忙しい時期に突然の来客何て、迷惑以外の何物でもないというわけだ。
「何が言いたい。目的があるならはっきり言え。」
「忙しくて時間が惜しい、と?...案の定焦っていらっしゃるみたいだ。」
反論は格好の餌というわけ...か。
無言のままその場を立ち去ろうとすれば、気色が悪いほどに朗らかな笑みを浮かべたそいつは「まあまあ待ってくださいよ。」と宥める様に言った。
「貴方もお察しの通り、地球に拉致された彼女はかなり危ない状態にあります。天人の組織からは真選組が奪還に成功したようですが...警察とは言えど彼らも所詮は幕府の飼い犬。どんな仕打ちを受けているかもしれませんしね。」
「だが殺されてはいねぇんだろ。...大方、女を狙う俺見てぇな輩をおびき寄せるための餌にでもするつもりなんだろうが。」
「おそらくは。ですが注目すべきは真選組ではなく、彼女を狙う組織の方です。今は貴方の旧友と行動を共にしているようですが....すべての追撃を打ち破れるとはいいがたいですからねぇ。」
「.....旧友?何のことだ。」
真選組に捕らわれているのではないのか。
反応を示せば、罠にかかった獲物を見つめるように、怪しく片方の口角を吊り上げた。
一挙一動が気に食わねぇ。
「ご存じありませんでしたか?攘夷戦争時代の戦友...白夜叉、ですか。江戸に住む彼の家に上がり込んでいる様ですよ。」
「......あいつ何考えていやがる。」
まさかこいつの口から奴の名が出るとは思ってもみなかった。
意外な人物の登場に過去の記憶を遡るが、銀時とAには取り立て接点はなかったように思える。
しかし重要なのは、なぜこの男が無償でそんな情報を俺に流すのか、という点だ。
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★九尾★(プロフ) - 面白いです!めっちゃ楽しんで読ませてもらってます!更新頑張ってください! (2018年10月18日 23時) (レス) id: 0ceb133c1e (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - 鷹さん» お読み頂きありがとうございます!他ジャンルの方からもそのように言っていただけてとても嬉しいです!今後もよろしくおねがいします! (2017年10月5日 7時) (レス) id: 0cde9ce314 (このIDを非表示/違反報告)
鷹(プロフ) - 普段銀魂の作品をあまり読まない者ですが…とても面白くて一気に読んでしまいました!今後も楽しみにしております! (2017年8月31日 0時) (レス) id: fec64aa2a0 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - あやかさん» ご感想いただけてうれしいです!コメントありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします!! (2017年8月5日 12時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - なるぽんずさん» ほんとうですか...!!ありがとうございます!この後、徐々に明らかにしていきたいなと思っておりますので。今後もお付き合いいただければと思います! (2017年8月5日 12時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しののめ | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aoikasou/
作成日時:2017年7月22日 2時