四十八 ページ1
普段なら守秘義務だなんだとうるさい野郎が、団子を頬張りながらぽつりと零した。
「いやここだけの話、高杉ご寵愛の女ってやつが来てるんでさァ。」
好奇心丸出しの面で、鶯色のあんこを美味しそうに平らげる。以前離したときからこいつがその女に興味を持っていたことは知っていたが、まさか、そんな報告を聞くことになるとは夢にも思わなかった。
「何いってんだよ。んなの、偽物に決まってんだろ。高杉様ぁとかほざく女は吐いて捨てるほどいんだよ。」
「落ち着いて現実みやしょうよ旦那。そりゃ旦那よりグッツが高額で売買されてることもあるかもしれやせんが、人気投票的には勝ってるんですぜ。自信もちやしょうや。」
「いや、何の話だよ。」
流石のこいつも自分の失態に気づいたのか、茶かしてはぐらかしにかかる。
しかしまんまと流されてやる俺では当然ない。
「で、どっから連れてきた。んな女。」
本物なわけがない。そういくら言い聞かせても、胸騒ぎは一向に収まりを見せなかった。...嫌な予感がする。
そんな心中を悟られてしまったのか、目の前の奴は、にやりと人を弄ぶような笑みを浮かべていた。こいつと話すときは如何なる時も油断してはいけない。
「がりがいくんで手、うちますぜィ。」
しかもカウンターとは、なかなかのやりてである。
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ワンコインとは言えど、こう何本も買わされては財布が次の給料まで持たない。というかまず食費が危ういし、今月も先月もその前も確かその前位も絶賛家賃滞納中である。
頭を抱える俺なぞみずしらず、ビニール袋一杯にアイスキャンディーをぶら下げたそいつは、上機嫌に水色のそれを口にくわえていた。
「女は―――鬼兵隊からの間接輸入でさァ。」
適当なベンチに腰掛けてそう呟いた後、「口外したら旦那の首が飛びやすぜ。」とくぎを刺した後、大まかな概要だけ知り得ることができた。
ただいくつかの言葉が伏せられ、抜き取られた内容が在るのは確かだ。
けれど、その女とやらが本物であると判断するのに、それらは十分すぎる物だった。
話を終えて黙り込む俺を不審がっているのか、お巡りの視線が刺さって痛い。
「やっぱ旦那、なんか知ってやすよね。」
「...さあな。」
「これだけ情報やったんでさぁ。なんか役に立って下せェよ。つーか早くしねぇと殺されちゃいやすよ、あの女。」
「.......。」
あからさまな反応を見せる俺を、そいつはまたしても意地悪く笑っていた。
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★九尾★(プロフ) - 面白いです！めっちゃ楽しんで読ませてもらってます！更新頑張ってください！ (2018年10月18日 23時) (
レス) id: 0ceb133c1e (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - 鷹さん» お読み頂きありがとうございます！他ジャンルの方からもそのように言っていただけてとても嬉しいです！今後もよろしくおねがいします！ (2017年10月5日 7時) (レス) id: 0cde9ce314 (このIDを非表示/違反報告)
鷹(プロフ) - 普段銀魂の作品をあまり読まない者ですが…とても面白くて一気に読んでしまいました！今後も楽しみにしております！ (2017年8月31日 0時) (レス) id: fec64aa2a0 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - あやかさん» ご感想いただけてうれしいです！コメントありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします！！ (2017年8月5日 12時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - なるぽんずさん» ほんとうですか...！！ありがとうございます！この後、徐々に明らかにしていきたいなと思っておりますので。今後もお付き合いいただければと思います！ (2017年8月5日 12時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しののめ | 作者ホームページ：http://nanos.jp/aoikasou/
作成日時：2017年7月22日 2時
