四十三 ページ44
「私の事知ってるんですか!」
つい黒髪の少年に掴みかかり揺さぶると、なんだかこういう場面に慣れているかのように、「あーあー落ち着いてくださいとりあえずその手を離しましょう、苦しいです!」と返されてしまう。
我に返り、一度落ち着いてからもう一度尋ねる。
「私の事、教えてください。」
「そのー知ってはいるんですけど。言えないんですよ。立場的に?」
「立場....ってまずあなた誰ですか。」
「なんかものすんごい今更ってか、時差やばくね。え、割とあんたヤバイ側の人間?」
すかさず突っ込みを入れられた。
えいやだって、なんか無害そうだしいいかなぁと思って。
「口出てますよ。酷くないですかなんか、凄い当然の様に俺の扱い雑...。」
「いえその、話しやすい方だなぁと思って。」
「.....フォローありがとうございます。」
こういうの慣れてるんで、とあきらめの表情を見せる彼は、やはり日常的に揺さぶられたりする系男子なんだそうだ。
しかしまあ、上司の愚痴を言っていられる状況では少なくとも無いと思うのだが。
急かす理由も無いので、はぁそうですか、と相槌を打つ。
「あっそれで。俺、山崎退って言います。地球の警察みたいなもんで、訳あってAさん救出に参りました!」
「ここから出してくれるんですか?」
「はい。もう少しすると、俺の仲間がこの本拠地に襲撃を仕掛けます。その前にAさんの身の安全を確保するべく、事前に抜け道を使って逃げ出すってわけです。」
警察。
その二文字には警戒せざる負えなかった。
この少年、山崎さんは悪い人ではなさそうだけれど。
その背後にいる組織が果たして、私にとって本当に味方であるかどうかを判断するにはまだ早い。
...けれど、このじめじめとした牢獄の中にとどまり、襲撃に巻き込まれるよりはましだろう。
私に残された選択肢はそう多くない。
「わかりました。私の事、助け出してください。」
「はいっ!真選組山崎退、責任を持って守り抜きます!」
大げさな敬礼をする彼を見ていると、なんだが頬が緩んだ。
久々に緊張が解ける。
「野崎さん、そっちの方がいいですよ。」
「え?」
「あっち側をずっと眺めてる時、凄くつらそうな顔してたんで。さっ行きましょう。」
取り出した小道具で枷を外すと、抜け道へと案内してくれる。
振り返って私を閉じ込めていた部屋を眺めるけれど、前みたいな執着はなかった。
こことあの部屋の違いなんて考えずとも分っている。
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沖神 - そ…そうですかw…ごめんなさいw (2017年8月16日 1時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - 沖神さん» ......む、無料....ですよ! (2017年8月12日 11時) (レス) id: d0946bab96 (このIDを非表示/違反報告)
沖神 - これって有料じゃないです…よ…ね?………… (2017年8月12日 2時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - あかあしえいたくんさん» ご感想お寄せいただきすごくすごくうれしいです...。こちらこそ、ぜひ応援よろしくお願いいたします。コメントありがとうございました。 (2017年7月13日 0時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
あかあしえいたくん(プロフ) - 高杉すごいドキドキします!すごくすごくおもしろいです!これからもがんばってください!ぜひ、応援させてください! (2017年7月10日 14時) (レス) id: 04caca4bb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しののめ | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aoikasou/
作成日時:2017年5月14日 20時