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三十九 ページ40

「おとなしくしてりゃぁ、あっちの女もろとも傷はつけねぇよ。」

背後で応戦する来島さんは、対峙している敵にてこずっている様子だ。
こちらにまで意識を回せる余裕は到底ない。

下卑た笑みを浮かべるこいつらの言いなりになって、白旗を上げるほど私だって軟じゃないのだ。


ぎゅうと両手で銃を握りしめる。


「...おいおい、まさかそんな玩具で反撃しようってんじゃないだろうな?」


下卑た笑みを浮かべるそいつに続いて、武器を構える背後の仲間たちも一斉に私の事をあざけ笑う。
廊下に充満するのは乾いた銃声と、奴らの卑しい加虐心だった。


ああ、気色が悪い。

こんな輩が私たちの楽園を、彼との愛おしい時間をぶち壊しただなんて。
考えるだけで鳥肌が止まらない。

敵に投げ飛ばされ、後ろから来島さんのうめき声が聞こえた。
手の届かない範囲にまで跳ね飛ばされてしまう拳銃。
――その白い肌に薄汚い手が忍び寄り、彼女を拘束する。


ああ、

こうも無遠慮に聖域を踏み荒らす奴らが憎い。



「さあお前もさっさと...」




ちかよらないで。






―――バンッ





筋肉の退化した両腕では、反動に耐えるのが精いっぱいだったけれど。
こちらに手を伸ばしてきた天人の胸は真紅に染まり、台詞を最後まで言い切らないまま地にが倒れる。

いくら小娘一人にしても、銃を持っている相手に対して油断しすぎだ。


「っ!こいつ!」


一気にその瞳に殺意を宿す小物達。


…でももう、遅すぎる。


一瞬の隙を突くようにして敵の背後にまわり、こめかみに拳銃をのめり込ませた。
これだけの体格差と体力面でのハンデ。
それをももろともしない自らの戦闘能力に、私自身、判断力が追いつかなかった。

身体に染みついた記憶が、自然と四肢を操る。

圧倒され急変した戦況に対応できない奴らは、焦りを露わにしていた。
脳が処理し終わる前にその息の根を止める。

次々に倒れ行く天人たちに、来島さんがこちらを凝視していることに気づく。
こちらの異変に気を取られた天人に一撃をくらわせると、来島さんもまた体制を立て直し、反撃を開始した。



来島さんとは比べ物にならないけれど、確かに私は、この手で生き物を殺した。
あの感覚は明らかに、人を殺めるのは初めてといった風ではない。

下っ端であれば問題なく抹殺できるだけの技術力を、記憶をなくす前の私は有していたと言うのだろうか。

何故、何のために?
だって普通の娘であればそんなもの必要ないでしょう?

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沖神 - そ…そうですかw…ごめんなさいw (2017年8月16日 1時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - 沖神さん» ......む、無料....ですよ! (2017年8月12日 11時) (レス) id: d0946bab96 (このIDを非表示/違反報告)
沖神 - これって有料じゃないです…よ…ね?………… (2017年8月12日 2時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - あかあしえいたくんさん» ご感想お寄せいただきすごくすごくうれしいです...。こちらこそ、ぜひ応援よろしくお願いいたします。コメントありがとうございました。 (2017年7月13日 0時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
あかあしえいたくん(プロフ) - 高杉すごいドキドキします!すごくすごくおもしろいです!これからもがんばってください!ぜひ、応援させてください! (2017年7月10日 14時) (レス) id: 04caca4bb1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しののめ | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aoikasou/  
作成日時:2017年5月14日 20時

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