十七 ページ17
そこは変わらず、宇宙のはきだめみたいな場所だった。
売買されるのは全宇宙で禁じられている違法な物ばかり。
例えば目の前の男は手に多量のハーブを抱えているし、その奥の奴は臓器取引の重鎮だ。
すぐそばを通り過ぎるのは鎖に繋がれた人型の何か。
...鉄と鉄のぶつかり合う音はここに居るはずのないAを連想させた。
言い出せばきりがない、汚れきった空間に吐き気がする。
地球に帰れば"過激派攘夷浪士"として幕府に追われる身で言えることは少ないが、とにかくここまで欲に溺れ腐りきった奴らと同じ犯罪者というくくりに入れられる事にいい気はしていない。
まあ普通の感覚を持った奴からすれば、あいつらと俺との差なんざないに等しいんだろうが。
そこまで思考を巡らせて、自虐的に笑った。
ぎらつくネオンの光に照らされるのは、船内にひしめき合う犯罪者共の顔、顔、顔。
脇に並べられた度数の高い酒は、次々と男たちのグラスに注がれていく。
ひしめき合う溝鼠の中に一人、透明のグラスを傾け大粒の氷を転がす男がいた。
この場に似つかわしくない、落ち着いた出で立ちのそいつはこちらに気づいたのか、顔を上げ傍まで人をかき分けてやってくる。
「お久しぶりです高杉さん。」
「あぁ。遅かったじゃねえか。」
「すみません。探すのに手間取りまして。」
何せこの人混みですから、と笑うそいつの目に光は無く、宿るのは残虐的な色。
こいつも例外なくこの船の住人であることを物語っている様だった。
「あれですよね、この間頼まれてた件。」
「そうでもなきゃ、んな所になんざこねえよ。いいから早くしろ。」
「酷いですね。高杉さんだってこの船に色々とお世話になってるくせに。」
「.....黙れ。」
へらへらと笑う男は苛立つ俺を見てて愉快そうに笑った。
本格的に刀に手を掛け始めた様子を見てからやっと、適当な謝罪を述べて目的の物を取り出す。
「全部そこにまとめてありますんで、一読お願いしますよ。高杉さんの...何でしたっけ、鬼兵隊?の戦力があればあのくらいの集団、一ひねりだと思うんですけどね。わざわざ毛嫌いしている私を頼らなくたって、潰しちゃえばいいじゃないですか。」
「分っててきいてんな、てめぇ。」
「そう怒らないで下さいよ。......どうせあの女の玩具の為なんでしょう?」
下卑た笑みを浮かべる男から強引に差し出された書類を受け取ると、すぐさま背を向け歩き出した。
玩具。
男の言葉にへばり付いていた。
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沖神 - そ…そうですかw…ごめんなさいw (2017年8月16日 1時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - 沖神さん» ......む、無料....ですよ! (2017年8月12日 11時) (レス) id: d0946bab96 (このIDを非表示/違反報告)
沖神 - これって有料じゃないです…よ…ね?………… (2017年8月12日 2時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - あかあしえいたくんさん» ご感想お寄せいただきすごくすごくうれしいです...。こちらこそ、ぜひ応援よろしくお願いいたします。コメントありがとうございました。 (2017年7月13日 0時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
あかあしえいたくん(プロフ) - 高杉すごいドキドキします!すごくすごくおもしろいです!これからもがんばってください!ぜひ、応援させてください! (2017年7月10日 14時) (レス) id: 04caca4bb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しののめ | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aoikasou/
作成日時:2017年5月14日 20時