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十三 ページ13

ただ押し付けるだけのキス。

今まで理性にお預けされていた分を取り戻すように、思う存分ご馳走にありつく。

先日の真似をしてみるけれど、思うように体が動かず、何か足りなかった。


そうこうしているうちに、まだ塞がっていない高杉さんの指先の傷からは、血が慕っている。

肘まで1本の線を描いていた。
ぞくぞくと何かが背を走る感覚。それが欲しくて欲しくてたまらない。




「....それも、頂戴。」




新しいおもちゃを見つけた子供みたいだ。

腕を持ち上げて舌を這わせる。

汚いとか、無様だとか。
そんな言い訳はもう私達には必要なかった。

二人っきりの空間では、格好つけて世間の目を気にする必要なんてないのだから。

ふと視線をあげれば、高杉さんは見世物でも見ているふうだ。
いや、もっと的確にいえば。
餌付けをするみたい。




「下手くそ。」




形勢逆転。
私の手首を掴むと、今までの陶器を扱うような対応など無かったかのように、力任せに床に組み敷かれる。

がしゃりがしゃり、と足元で枷が音を立てた。

こんな挑発を受けて、いくら高杉さんだって平常心を保っていられるわけがなかったんだろう。

いつもより荒い息遣いを、間近で感じる。


「...っ.......」

「もっと、欲しいんじゃなかったのか?」



人の事を貶すだけはある。

前回の口移しなんて比べ物にならないほど、頭をかき乱してきた。
侵入してくる舌をただ受け止め、高杉さんに全てを委ねる。

とろけるような感覚。

何もかもが甘い毒薬になって、体を侵食されてしまうんじゃないかとすら思う。

酸素なんてろくに吸わせて貰えないのに、そんな息苦しさを打ち消してもお釣りが来るほどの、強烈な快楽。

指を咥えてから、外部からの刺激に異常に敏感になっている自分が怖かった。




長いキスのあと、二人の間を銀色の糸が引く。


ぐっと暗闇に引き込まれるように、目眩に襲われた。
後ろに倒れそうになる私を、高杉さんの腕が受け止める。


遠のく意識の中でみた高杉さんの顔は、満足気なものだった。

十四→←十二



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沖神 - そ…そうですかw…ごめんなさいw (2017年8月16日 1時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - 沖神さん» ......む、無料....ですよ! (2017年8月12日 11時) (レス) id: d0946bab96 (このIDを非表示/違反報告)
沖神 - これって有料じゃないです…よ…ね?………… (2017年8月12日 2時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - あかあしえいたくんさん» ご感想お寄せいただきすごくすごくうれしいです...。こちらこそ、ぜひ応援よろしくお願いいたします。コメントありがとうございました。 (2017年7月13日 0時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
あかあしえいたくん(プロフ) - 高杉すごいドキドキします!すごくすごくおもしろいです!これからもがんばってください!ぜひ、応援させてください! (2017年7月10日 14時) (レス) id: 04caca4bb1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しののめ | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aoikasou/  
作成日時:2017年5月14日 20時

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