05.バケモノでした ページ5
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思い返してみると、キムテヒョンはとにかく怖いもの知らずな人物だった。
入学式の次の日に屋上にある塀の上をフラフラと歩いていたことは学校中の噂になっていたし、よく自転車や車にぶつかったという話も聞く。
本人は無傷だったから、危ないとこだったね〜的な感じで流されていたけど、彼は不死者なので実際はミンチになっていたのかもしれない。
怖いもの知らずな人物は得てして英雄扱いされるので、クラスの派手なグループはテヒョンを囲って楽しそうにしていた。
それがまあ、吸血鬼だったなんて誰が想像するだろうか。
｢はあ〜〜〜｣
仕方なく受け取った牛の血液パウチをとりあえずポケットに入れ、授業の内容なんか頭に入らないまま休み時間を迎えた。
ダメだ。現実逃避がしたい。
ふら〜っとその場から立ちあがると、何故か遠くにいたキムテヒョンとバッチリ目が合った。
｢どこいくの？｣
｢トイレ｣
保健室と言って詮索されるのも嫌だし、そのままサボろうなんて魂胆を見透かされるのも億劫で、はぐらかすと｢そっか〜｣と返してニコッと笑った。
そして私はトイレではなく、図書室へと足を向けたのである。
・
うちの学校の図書室は広い。
趣味が読書ということもあって、私も慣れた感じに本棚の奥に置かれた椅子へと陣取る。
｢はあ……｣
ようやく落ち着ける気がする。朝から色々あって、なんだか疲れていた。
人間じゃなくなる感覚なんか、よくわからない。痛いとか痒いとか感覚があれば少しは変わるかもしれないけど、今は特に何も感じなかった。
とりあえず何か活字が読みたい。そう思ってとりあえず現代小説コーナーをぶらぶらする。
昨日、キムテヒョンに会わなきゃこんなことにはならなかったのに……と鬱々とした後悔が襲ってきた。
ふわふわとした口調で責任を取るだなんて言われても、説得力が欠けらも無い！
――キムテヒョン！
ちょっと湧き出た殺意のせいで気が逸れて、本棚の影から歩いてくる人の気配に気が付かなかった。
ドン、と衝撃が走って、目の前に男子生徒の制服が目に入る。
｢あ、ごめんなさい｣
私は謝ったが、相手は黙ったままだった。
顔を見上げると、図書室でよく見る名前の知らない後輩の男子生徒が、ぎょっとした顔で私を見ていた。
まるで化物でも見るかのような……あ、もう私は化物か。
思わずその辺の本を手に取って、サッと本棚の奥に引っ込んだ。
｢はあ〜最悪｣
手に取った本は偶然にも吸血鬼の本だった。
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sai(プロフ) - のんさん» はじめまして、コメント＆読了ありがとうございますー！ 番外編もちょいちょい書きますので、また読んでください´`* (2019年9月14日 23時) (
レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 初めまして。楽しく読ませていただきました。完結してしまって…しばらく吸血鬼ロスでした。番外編嬉しいです！楽しみにしています！ (2019年9月14日 19時) (レス) id: 94dc845851 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - チョコさん» 完結までお付き合いいただいてありがとうございまーす！その後の進展(？)した二人も書きますね〜！読んでくださってありがとうございました！ (2019年9月10日 12時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - AULA−輝きさん» ストーリーがダラダラしそうで大分（他メンのエピソードとか）色々削ったので、ぼちぼち番外編てやりたいですね〜！ジミンちゃんの今的なやつもやってみようと思います^^ (2019年9月10日 12時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ(プロフ) - わぁ〜！完結しましたね！今回は推しということもあり楽しませていただきました！続編、見たいです！！基本的には作者さんにお任せですがやっぱりデートシーンみたいなのはほしいです笑笑 (2019年9月10日 1時) (レス) id: 58e918a46e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2019年8月29日 11時
