23.運動音痴の試練 ページ23
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あんなことがあっても、人間社会は知らんぷりでいつもの日常が帰ってくる……というか今月末にある初等部から高等部全員参加の大体育祭のためにクラスは大荒れだった。
「俺、リレーでる! あと〜サッカーと野球と〜……」
「テヒョン一人でそんなに出れないよ」
「でも、テヒョンが出たら優勝出来そうじゃん」
「あとー……バスケも出たい!」
「とりあえずリレーは決まりな〜」
テヒョンは行事となると俄然張り切っていてぴょこぴょこと手を挙げては楽しそうに笑っている。
学級委員長が黒板に名前を書き連ねては決まった種目からぐるぐるとチョークで円を書いた。
「Aはどうすんの?」
「え? 私は……」
友達にそう言われて言葉を濁す。
割と陰キャで元々運動はからっきしダメだったので、とりあえずクラス全員参加の種目と、適当に振り分けられる余り物の種目さえこなしてればいいやという感じだ。
個人競技は責任重大だし、球技も陸上も全然出来ないから、そういう人は大人しくしているに限る。
当日もテントで読書に勤しむ予定だった……のに。
「A〜A〜」
「……何も言わないで」
「俺と卓球出ようよ!」
「卓球なんかしたことないからやだ」
「え〜……俺がやるから……」
「じゃあ一人で出て」
「え〜!」
そーっと静かにしているつもりが、テヒョンはそんな私を放っておいてくれるはずもなく、静かにしている私を目敏く見つけてニコニコと笑っていた。
どうやら諦めるつもりはないらしい。
クラスメイトはもちろんテヒョンのイエスマンなので、私の意見なんかそっちのけで「じゃあ卓球はテヒョンとAな〜」なんて名前を書いていた。
本当に運動ダメなのに。もう既に体育祭が嫌になりそうだ。
「中等部最後だし、優勝したいよね」
「高等部強いからなあ」
「テヒョンいれば強いじゃん」
クラスメイトが人外って反則なんじゃないだろうか。
「私のせいで負けても文句言わないでね」
「練習しようよ」
「ええ〜……」
「楽しみだね〜」
「私の話全然聞いてないでしょ」
こうなるから嫌だったのに、テヒョンは強引に私を卓球の選手にエントリーした。
こうして私はクラス対抗の騎馬戦と綱引きと大縄と、何故か卓球に出場することが決まったのである。
「今日から練習しよ」
「どこで」
「生徒会室に卓球台あるよ」
「なんで」
「なんでだろ〜」
というか、テヒョンは生徒会ですらないのに、なんでそんなこと知ってるんだろう。
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sai(プロフ) - のんさん» はじめまして、コメント&読了ありがとうございますー! 番外編もちょいちょい書きますので、また読んでください´`* (2019年9月14日 23時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 初めまして。楽しく読ませていただきました。完結してしまって…しばらく吸血鬼ロスでした。番外編嬉しいです!楽しみにしています! (2019年9月14日 19時) (レス) id: 94dc845851 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - チョコさん» 完結までお付き合いいただいてありがとうございまーす!その後の進展(?)した二人も書きますね〜!読んでくださってありがとうございました! (2019年9月10日 12時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - AULA−輝きさん» ストーリーがダラダラしそうで大分(他メンのエピソードとか)色々削ったので、ぼちぼち番外編てやりたいですね〜!ジミンちゃんの今的なやつもやってみようと思います^^ (2019年9月10日 12時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ(プロフ) - わぁ〜!完結しましたね!今回は推しということもあり楽しませていただきました!続編、見たいです!!基本的には作者さんにお任せですがやっぱりデートシーンみたいなのはほしいです笑笑 (2019年9月10日 1時) (レス) id: 58e918a46e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sai | 作者ホームページ:https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時:2019年8月29日 11時