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少女はあくまで無表情。
怒っているのか、呆れているのか。
はたまた面白がっているのか、よく分からない。
彼女は自分よりひと回りほど大きいイナサを見上げるようにしながら、淡々と口を開いた。
「……他人のパーソナルスペース考えるって、約束」
「おっといけね! そうだった!!」
「……セクハラと勘違いされたら、困るのはイナサ」
何だか注意の方法が見当違いなような気もするが、彼女は完全にイナサを飼い慣らしている様子。
イナサもイナサでまっすぐな
地面に頭がつくほど(いや、実際ついている)の勢いで、すぐさま一気に頭を下げた。
「轟!! ごめん!!」
「いや、別に。
俺たちは男同士だからセクハラになんねェし」
「……はっ」
「そうか!! 確かに!!」
この二人、案外似たもの同士なのかもしれない。
天然というか、どこか抜けているというか。
轟もよく天然だと言われるので、もしかすると三人ともそうなのかもしれないが。
「そんで、ソイツは?」
「ああ、轟とは初対面か!
ええと、同じクラスのAさんっス!」
「……どうも、影巳Aです」
同じようにイナサが轟を紹介すれば少女――影巳Aはぺこりと頭を下げる。
轟もつられて頭を下げれば、Aの口元が少しだけ緩んだきがした。
「同じクラスってことは、影巳も1年か」
「そうそう!
Aさんは結構凄くて、士傑1年の中でも相当の実力派なんスよ!! 凄い!!」
「……実技はイナサのが上。イナサのが凄い」
どうやら、お互いがお互いを認めているらしい。
士傑はあまり他者と馴れ合わない、近づきがたい雰囲気を持っている生徒が多い印象を受けるが、この二人は別なのだろう。
ある種、クラスから浮いている者同士なのかもしれないが。
「それで……アレ、これって言っていいんだっけ?」
「……言っていい」
「よし、じゃあ言おう! そんでAさんは……」
イナサは爛々とした瞳で続ける。
その瞳に、欠片だって嘘はない。
そもそも彼は嘘が付けないタイプだと、轟は思っていた。
だから多分。この言葉だって本当のこと。
何気なくイナサが口にした紹介に、轟は目をまん丸にする。
「――実は、宇宙人なんだ!!」
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るいるい**(プロフ) - ヨシさん» コメントありがとうございます! 応援の言葉、とっても嬉しいです! (2019年7月10日 18時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
るいるい**(プロフ) - 蛍狼 & ローシさん» 応援ありがとうございます! ずっと書きたかった話なのでそう言っていただけると嬉しいです! これからもよろしくお願いしますv (2019年7月10日 18時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 夢主ちゃんがすごく不思議可愛いです!応援してます! (2019年7月10日 18時) (レス) id: 83a9ab1185 (このIDを非表示/違反報告)
蛍狼 & ローシ(プロフ) - 高校が士桀高校なのが個人的に凄く好みです!夢主ちゃんと天然くん達の絡みや、かっちゃんとのコントのような絡みもめっちゃ面白いです!後、地球人に爆笑しました!更新頑張ってください!応援してます! (2019年7月10日 15時) (レス) id: cc961492f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るいるい** | 作成日時:2019年7月10日 6時