番外編:夕暮れの恋 ページ9
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※これは100話記念の番外編です。
※幕間の小話としてお読みください。
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トガヒミコは聡い少女である。
その個性柄か。あるいは得意な性癖からか。
ひとの感情の機微には敏感な乙女であった。
「Aさんって、好きなひとがいますよね」
バーのカウンターに両肘をつきながら、少々行儀悪くAを見上げるトガ。
ぷらんぷらんと脚を遊ばせながら丸椅子に座る彼女は、高校生らしく可愛らしい。
ここはどう返すのが正解なのだろう。
少々悩みながらも、出かけようとドアノブにかけた手を一旦離して、Aはトガと向き合った。
にこにこにこ、と人懐こい笑みを浮かべるトガの表情からは『普通』あるべきはずの感情の起伏だとか、言葉の意図だとかを察することが難しい。
イカレ女だとか。クレイジーだとか。
死柄木や荼毘や、世間たちが表すのも仕方がないかなぁ、なんて思わせてしまう少女だ。
「そして案外、一途です。
個性はふらふら浮気症なのに、不思議です」
「うーん、そうかなぁ。
そんなことはじめて言われたよ。
もしかしてトガちゃん、俺のこと好き？」
「いいえ！ 全然タイプじゃないです」
表情を崩さないまま、はっきり答えるのはトガ。
ありゃりゃ、と苦笑いしてみせるのがA。
彼らのやりとりは曖昧だ。
彼らの想う真実は、世間一般で表すならどんな文字になるのだろう。
それすらも分からないくらいあやふやで、危うげなラインで話をする。
「そっかー。俺、フられちゃったね」
「……あれ、今からお出かけですか」
「ああ、日が暮れてきたからね」
「なるほど、いつものお散歩ですね」
いってらっしゃいとトガは手を振る。
いってくるよとAは微笑む。
ひとなつこく笑うトガと、飄々としたA。
つかず離れずあいまいで、危うい友だち。
「夕暮れが好きなんですね」
「まあ、ほどほどにね。
昔はあまりすきではなかったのだけれど」
夕暮れは明日を運ぶから好きじゃない。
そう思っていた頃もあったし、今も少し。
心境の変化があったのはいつだろう。
放課後と呼ばれるこの時間が、ほんの少しだけ愛おしくなったのは、いつからか。
「……気になる子ができたからかなぁ」
「恋って素敵ですね、Aさん」
「あはは、そうだねぇ」
夕暮れは黄昏、誰ぞ彼。
――恋の輪郭も曖昧に。
(......番外編 おしまい......)
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るいるい＊*(プロフ) - 遥亜さん» コメントありがとうございます！リクエストもとっても嬉しいですvV 今書いているものが完成したら是非とも書かせていただきますね！ (2019年6月12日 13時) (
レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
遥亜(プロフ) - 完結おめでとうございます！リクエストいいですか？是非主くんと一年A組のみんなが仲良くしているのを見てみたいです！一年A組のお手伝いとして訓練に参加したりしてもらいたいです！お願いします！ (2019年6月12日 11時) (レス) id: b6c422ed28 (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - 星の桜さん» コメントありがとうございます！ 尊いと思っていただけたのなら嬉しいですvV (2019年5月30日 8時) (レス) id: ba7b003d03 (このIDを非表示/違反報告)
星の桜(プロフ) - 反則...尊しをさせるきぃ...？ (2019年5月30日 6時) (レス) id: d8fdca1aee (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - タクさん» ありがとうございます！ 私に書ける最大級の甘々を目指しましたvV (2019年5月29日 21時) (レス) id: ffc7d791fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るいるい＊* | 作成日時：2019年5月23日 18時
