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お茶子が逃げないと分かったAはご機嫌だった。
色素の薄いグレーの瞳を楽しげに緩め、指をくるくると弄ぶ。
脚を組み替えると、やや勿体ぶりながら、彼はゆっくり、口を開いた。
「さて、麗日ちゃん。
俺がどうして君のことを気にかけてると思う?」
「……私が、相澤先生の生徒だから?」
「そうだなぁ、半分正解!
これからイレイザーヘッドに除籍されるかもしれない憐れな有精卵ちゃんを見ておこうと思ってね」
「うわぁ、悪趣味だ……」
「ほら、残り半分も考えて。
ここって雄英に近いし、他のヒーローに見つかったら面倒なんだからさ」
だったら話しかけたり、待ち伏せなんかしなければいいのに。
困った素振りは微塵もないから、それもそれとして……スリルとして楽しんでいるのだろう。
だんだんこの、怪しい青年の思考回路が分かってきたような気がする。
「えーっと……家が近かったから?」
「あはは、それもあるかも!
あの公園のこと、俺も結構気に入ってるんだ」
Aはくすくす、おかしくて堪らない、といった様子で笑う。
腐ってもイケメン。怪しくても美形。
精緻なパーツのこの男は、笑っても様になる。
「……それじゃあ、答え合わせ」
立ち上がったAはすらりとしており、お茶子よりも背が頭ひとつ分ほど高い。
また昨日のように個性を使う気だろうか。
慌ててお茶子は後ろに一歩下がるが、それよりも早く、Aが踏み込む。
そうか、この人。
脚が長いから一歩の幅が大きいのか。
物理的に距離を縮めてきたAは、やっぱり楽しげに笑っていた。
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るいるい**(プロフ) - カイさん» コメントありがとうございます! 嬉しいですvV (2019年5月29日 21時) (レス) id: ffc7d791fa (このIDを非表示/違反報告)
カイ - お茶子も主人公も両方可愛い! (2019年5月29日 20時) (レス) id: 2843dfb22b (このIDを非表示/違反報告)
るいるい**(プロフ) - 猫好きさん» 健全な占ツクでその話題はいけない…(戒め) (2019年5月24日 8時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - 野獣せんぱ……すみません (2019年5月24日 0時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
るいるい**(プロフ) - 祟璃さん» うわぁあ人名のミスとかいちばんやっちゃいけない誤字! ありがとうございます!本当に助かります! 修正致しました! (2019年5月20日 10時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るいるい** | 作成日時:2019年5月12日 14時