アラニュエの森 (ページ8)

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「宇宙のことは長く研究してるけど……ソルセルリーなんて聞いたことも」
「え、サクライさんって研究者なの？サトちゃんと同じだ」

マサの言葉に、目を丸くしてサトを見る。

穏やかな雰囲気の人だ。

「マサ、余計なことを言って混乱させないの。ごめんね、サクライさん」

マサを怒りながら、申し訳なさそうな顔をしているサト。

「いえ……研究者なんですか？」
「まあ、建前上は。好きで研究やってるんだけど、学園で教えてたりもするから」

とすると、教育機関というものもちゃんとあるらしい。

かなりこの惑星は発展している。

「授業やらなくてこの間怒られてたけどね」
「明後日からちゃんと開講するんですー、授業準備してたの見たでしょ」
「はいはーい」

サトとマサは仲が良さそうだが、マサは見ている限り研究者ではなさそうだ。

櫻井の視線に気づいたのか、マサが櫻井を見る。

「俺は学園の学生なの。サトちゃんの弟子！」
「弟子っていうか、住みついてるだけでしょ。ほら、ユキにご飯あげてきて。まだあげてないでしょ」
「あ、そうだった。じゃあ、サクライさんまたあとでね！」

そう言って元気に部屋を出て行ったマサ。

わ、と階段でつまずいたらしき音も聞こえてきて、櫻井は苦笑した。

見れば、サトも苦笑している。

いつものことなのだろうか。

「サクライさん。聞いていい？」

サトがかしこまって櫻井に向き直る。

「なんですか？」
「この二人の名前は？」

そう言って、隣のベッドを見る。

「あぁ……手前が松本で、奥が二宮です」
「マツモトさんと、ニノミヤさん？」
「はい」

サトはうーん？と首を傾げている。

何かおかしなことでもあるのだろうか。

「名前は長くても大体三文字なの。だから、珍しいなって」

櫻井も首を傾げていると、ハッと気づいたようにサトが説明をしてくれた。

「そうなんですか？」
「うん。普通は名前は二文字」

かなり名前の文化が違うらしい。

同じ名前の人も結構いるんだ、とサトは笑っている。

「サクライさんのこと、名前長いからサクって呼んでいい？」
「あぁ……構いませんよ」
「僕のこともサトって呼んでね」

そう言って、サトは微笑んだ。