アラニュエの森 (ページ27)

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#損傷箇所ページ27

サトが灯した光は、意外と広範囲を照らした。

サトが杖を掲げると、宇宙船の内部が見えるようになった。

「ありがとう。ちょっと待ってね、損傷を確認してみないと」

櫻井はパネルが並ぶ運転席に向かった。

まずは電気系統が動くかどうかを確認する。

「ま、案の定といえば案の定なんだけど」

何を押してもまったく反応しない。

うーん、と顔をしかめながら手順通りに確認を進めていく櫻井を、物珍しげに眺めているサト。

「やっぱり電源がダメになってるよな……予備電源はどこだっけ」

しゃがみこんでいろんな場所の蓋を開け、予備電源を見つけた櫻井。

本体の電源に繋がっているケーブルをすべて抜き、予備電源に繋ぎ直してみた。

ピコン、という電子音が聞こえて、櫻井はパッと顔を上げる。

システムの起動音だ。

パネルに電気が流れ、正常に動き始めたらしい。

光り始めたパネルを見て、サトが目を丸くした。

「なにこれ、すごい……魔力がないのに、動いてる」

サトの言葉に、櫻井は苦笑する。

「そっか。サトからしたら、俺らのこれの方が不思議なんだよね」
「うん。すごく不思議。サクは今何をしたの？」

宇宙船に変化が現れたことによって、サトも興味を持ったらしい。

少し離れた場所から見ていたサトが近寄ってきた。

「これはね、電気っていうので動いてるんだよ。二宮が雷について話してたでしょ？」
「雷……あ、雷は電気っていう話？」
「そうそう。その電気」

へえ、と珍しそうに予備電源を観察している。

この惑星には電気という概念がそもそもなさそうだ、というのはサトとマサの反応からも察していた。

夜になればつく家の明かりも、どうも魔力が込められた道具の一つらしい。

魔力を持つ人がいれば、その魔力に反応して明かりがつく。

そのため、櫻井や松本が通っても反応せずに真っ暗なまま、というのはよくあった。

「これ、ずっと電気ってのが出るの？なくなったりはしない？」

サトが気になったらしく、櫻井を振り返った。

「あ、それで思い出した。非常用電源ってどうなってるんだ？」

予備電源はそれ自身で発電もしてくれるが、今の状態でちゃんと発電もしているかはかなり怪しい。

念のために非常用電源も確認してみれば、どうやらこれも無事らしい。

とりあえずよかった、と一安心。

そこでサトの質問を思い出し、ハッと振り返った。

「ごめん……答えてなかったね」
「いいよ。確認したいこと多そうだから」

サトは肩をすくめた。