サヨナラ初恋

21.優しい人だ ページ21

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聞けば翔太センパイの家は反対方向なのにわざわざ改札の中まて入ってくれて私の乗る電車を一緒に待ってくれた。


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発車する電車の中から手を振る。素直に優しい人だなって思った。

翔太センパイとちゃんと向き合って会話をして凄く楽しかった。だから家に帰るまでの私の機嫌は良くて玄関にあるスニーカーに気が付かず、

リビングに居るであろうお母さんにちょっと大きな声でただいまぁなんていつもより高めの声で伝えればいつもより軽い足取りで自分の部屋に向かった。





「お前帰ってくんの遅せぇよ。」
「…ひ、かる…」

私のベッドに腰掛けて入ってきた私を機嫌の悪そうな顔で見つめる照がそこに居た。

「なんでいるの」

「別に理由なんてねぇし」

久しぶりだ。照が私の部屋に居るの。
いつも私が照の部屋に行っていたから。

「お前さ、」
「んー？」

ちょっとビックリしただけだ。翔太センパイと会ってて少しだけ照の事を考えるのを忘れれていたから私は変に浮かれていたのかもしれない。

だからこそ、照が何故不機嫌なのかなんて分からないし。




「翔太と何いつの間に仲良くなってんの。」
「…は？」

背中越しに聞こえてきたその言葉に
ハンガーにブレザーを掛けていた手が止まった。

「照には関係ないじゃん」

振り向かずそのまま答える。



「…あぁそうだな関係ねぇよ」
「だったら別にいーじゃん。」

照が立ち上がった音がして、その足音が私に近付く。ギュッと無意識に目を瞑った。

「…でも俺は嫌だった」


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