サヨナラ初恋

3.まだ、何も ページ3

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まだ、何も


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この時の私はまだ何も分かってなかった。分かりたくなんてなかった。


すぐそこ歩いて数分とかのレベルじゃなく歩いて数歩の隣の家のインターホンを鳴らした。

ガチャリ、と空いたドアから出てきたのは照のお母さんで。

「ねー！おばさん！照は！？」
「照？まだ帰ってきてないよ？」

私は多分自分が想像しているよりも、凄い顔をしていたんだと思う。
おばさんがちょっと引いてた。
もう何年の付き合いだと思ってんの、すっぴんで部屋着で前髪はチョンマゲの私なんて見慣れてるでしょ？
そう、告げれば照のお母さんはそうだった！って照に似た笑顔で笑った。


「照帰ってくるまで部屋で待ってよーっと」
「そろそろ帰ってくるんじゃない？」
「てか、デートって何！？おばさんなんか知ってる？」

「いや、私が直接聞いた訳じゃないの。深澤くん居るでしょ？」

「なんだふっかか。」

照の部屋に向かうまでの廊下でそんな話をする。

情報源がふっかならなんか信用ならんな。



「あはは、Aは相変わらず深澤くんに冷たいねぇ」
「冷たいんじゃなくて！単純に！ウザイ！」

いーっておばさんにやったって意味ないのに私は頭の中に浮かんだ1つ上の深澤辰哉の顔を思い浮かべてうぇと声を出した。

深澤辰哉ことふっかは私と照の中学の時の1つ上の先輩だ。私も照も先輩だなんて思った事ないけど。
照とは気が合うのか高校が別々になってもたまに遊んだりしてるみたいだけど

私がウザイと思う理由は単純だ。アイツはすぐ私を可愛い、可愛いそう言ってからかってくるからだ。あのチャラ男め思い出したら腹たってきた。


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