僕ハ君ナシデ (ページ6)

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重い瞼を薄く開き起き上がると、見たことのない部屋。カーテンから漏れる光に日中であることを教えられる。
少しフローラルで甘いムスクの香りが鼻を掠めた。

「・・・ここどこだ」

にしてもどこかで嗅いだことのある匂い。

ダブルベットの上を占領していたのか布団が乱雑になっていた。家主に申し訳なくなりながらも少し痛む頭とともに身体を起こし、ドアを開ける。

「おう、やっと起きたか？」

ソファに掛けながら台本を読んでいる大倉がこちらに顔を向けた。

「お前意外と軽いんやな？そんながっちりした体しとんのに俺でも楽々と持ち上げれたわ！」

なんて笑いかけられる俺。ああ、俺昨日あの店入って、酔いつぶれてたんだ。

「マジでごめん。迷惑かけた。」

「ほんまやで、俺があの店おらんかったらどないするつもりやってん！ベッドも占領されてソファで寝たんやで？」

「本当に悪い、ゴメン。」

「嘘やって、そんな謝りなや。それより仕事はいけんのか？」

俺に近づくと頭を撫でる大倉。

１３時から７人での撮影が入ってるはずだけどいま何時なんだろう。

そこに携帯あんで、ずっとブーブーなっててうるさかったわ！と指差す大倉にサンキュと告げ開くと、何件もの不在着信。時間を見ると１２時を回っていた。確か集合１１時半だったよな。

ヤバい！と慌てる俺を見ては笑い、「送って行ったるからはよ用意しい」と浴室に案内され、丁寧に服まで貸してくれた。

わりい、と何度も謝りながら今は大倉に甘えさせてもらう。
シャワーを浴び身支度すませれば大倉の車に乗り込む。「シートベルトしてや、いくで」と車を飛ばしてくれた。幸い近かったので１５分くらいで到着。

大倉に「ありがとう」と伝えると「はよ行き、メンバーに怒られるで。あ、この埋め合わせは高いで？」と笑って手を振ってくれた。

「本当に迷惑かけて悪かった。絶対埋め合わせすっから、また連絡する。」

「おう、じゃあ、がんばれよ」

車を走らせる大倉を見送り足早に楽屋に向かう。

そんなところを見られているとも知らずに。

楽屋に着き全力で頭を下げて謝った。怒っているのかと思えば

「ミツ～～～、心配した、なんかあったんじゃないかと思って！！」

なんて優しい言葉をかけてくれる二階堂。

「まあ、撮影はまだ始まる時間じゃないし、すぐ着替えてメイクしておいで」

と横尾さんに促された。

ゴメンとまた頭を下げて、楽屋を出た。

そういえば、楽屋にアイツの姿なかったな。