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「んま〜〜〜」
料理と共に並べられたビール。
飲み食べを進めているうちに、気分も上がってくる。
「なんでさあ、大倉は俺に優しくすんの〜？？」
「お前のこと好きやからやけど？」
「んなもん、友達としてだろ〜」
ガハハ、と笑う俺を真剣に見つめる大倉。
「そう思っといたらええわ！」
なんて言うから少しムカついて「俺は本気で好きだけどなあ」とこぼしたら大倉が目を見開く。
「お前それ本気で言うとんのか？」
「って言ったらお前はどうすんの？」
「お前その言葉覚えときや。酒のせいにさせへんで。」
あの後何を話したかは覚えていない。
でも、ベッドで重なった唇がたまらなく甘くて、どこか苦くて、アルコールの匂いがした。
＋＋＋
あれから数日経ち、仕事に行っては大倉の家に帰るそんな日々が繰り返されていた。藤ヶ谷とはあれ以降二人になることもなく、仕事上会話するくらいだった。大倉といることによって気持ちにも落ち着きができた。
「行ってくるわ」
「悪い話じゃないとええな。ちゃんと帰っておいでや、宏光。」
「わーってるよ、美味しい飯よろしく、忠くん。」
ある日、俺と藤ヶ谷が事務所に呼び出された。雰囲気が最悪な中俺たちの目の前に出されたのは女の人が藤ヶ谷に腕を絡めて歩いている後ろ姿だった。
「これはどういうことだね。」
藤ヶ谷を見ると俯いていた。
「少し二人で話しさせてもらってもいいですか？」
「わかった。部屋案内してやってくれ。」
沈黙に耐えられなくなった俺は話を切り出し、案内された部屋に移動する。後ろについてくる藤ヶ谷は少し痩せたように見える。
「ありがとうございます。」
部屋に入り、向かい合わせに腰掛けると藤ヶ谷が小さく口を開く。
「ごめん」
「藤ヶ谷、痩せたな。」
問い詰めてもきっと言わないのはわかっている。そんな雰囲気を変えたくて、口にした言葉で藤ヶ谷が顔を上げた。
「ちゃんと飯食ってんの？」
「そんなに。」
「体調崩して仕事休む方が迷惑になるぞ。」
「ごめん。」
「もう撮られちまったのは仕方無えし、彼女だって作るのは悪くない。でも、これからどうするつもりだ？」
「彼女じゃない」
「それなら尚更、ダメじゃねえか。」
「何もわからないよ、北山には。」
「わかりてえよ、お前のこと。でも隠してんのはお前だろ？」
「じゃあ、このあとうちきてよ。」
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作者名：妖狐 | 作成日時：2019年10月19日 0時
