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「もしかして、泣いてませんか?」

『や、あの、泣いてないです。大丈夫、です』

「え、でも」

『本当に、大丈夫、大丈夫です』


大丈夫と何度も自分に言い聞かせるように繰り返すけど、涙は止まらなくて。
わたしが落ち着くまで何も言わずに待ってくれている加賀美さんの優しさに気づいてまた涙が出た。




「峯邑さん、無理しないで」

『してない、です』

「あの!本当に心配なので、ご自宅に伺っても

『ダメ!ダメです、』

「今日じゃなくても、明日でもいいので

『やだ、来ないで...来ないでください』

「・・・どうして、ですか」

『理由は、言えないです、』

「・・・・」

『ごめん、なさい。今は放っておいてほしいです』






「・・・頼りない、ですか、ね」

『ぇ、そんな

「もう少し、頼ってもらえる仲だと思ってました。・・・私の勘違い、だったようですね」

『ちが

「いきなりすみませんでした、」



ゆっくり休んでくださいね、そう一言残して通話は切れた。


『なんでっ・・あんなこと・・・っ』





せっかく連絡してくれたのに、理由も告げず一方的に突き放してしまった。通話している最中に顔が黒く塗りつぶされた写真が目に入って、もし、加賀美さんに何かあったら。そう思うと今は自分に関わってほしくない気持ちで言葉が勝手に出てきてしまった


『っふ、・・うぅ』

涙が止まらない










ピンポーン

インターフォンが鳴ったけど、応えられる状況でもなくそのまま放置していた時だった




ドンドンドン!

『ひっ』

玄関のドアが何度も強く叩かれる


「Aちゃーん!手紙読んでくれたかなー?」


知らない男の人の声が響く


「ポストの手紙取ったの見てたよー!読んでくれたー?」





(手紙の、人だ)



急いで防音室に入って扉を閉める。まだ微かにインターフォンと扉を叩く音が聞こえる。

どうしよう、どうしよう!
怖くて、どうしたらいいかわからない

助けて、誰か。助けて...!





♫♬・・・

スマホが鳴った。相手が誰かも確認せずに通話に出る。
助けて、助けてほしい。

『たす、助けて・・・!』

「A?」
 

▶︎星より遠い→←_



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作者名: | 作成日時:2022年9月23日 18時

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