その後のMADKID

４−１ ページ12

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『旅立つ前には挨拶をしなければな』

荷造りもだいたい済ませた昨日の夜
クリスにそう言われて、今日俺たちはクリスの運転する車に乗った


海岸沿いの道路に停められた車から降りて、潮の匂いのする空気を吸い込む
固くなっていた身体がほぐれていく


クリスの横で、クリスの真似をして目を閉じた。
これが、黙祷って言うらしい。

少しして、目を開けるとクリスもそれを終えていた
タオとセフンは少し離れた場所で並んで遠くを見つめている


「なんでここなの？」

「墓が無いからな」

「だからって、海？」

早朝の海は、静かで、俺たち以外の人影は無さそうだ

「海は世界中に繋がってる。」

そっか。
この想いも波に乗ってきっと届くよね。。

「ちゃんと挨拶したか？」

…挨拶、になったかなあ
言いたいことは全然、たくさんありすぎるよ
ただ頷くと、クリスのでっかい手に頭を撫でられた

「クリス、」

「そのクリスと言うのはもうやめろと言っただろう」

あー、そうだね

「ウーファン…へへ、懐かしいや。ずっとさ、ウーファンウーファン言う俺のこと注意してたよね」


ザザッと海岸沿いまで波の音が届く

「お前は結局、ルハンのままで押し通したな。」

「ただしくはルーハンだけどね。」


『なんで、違う名前で呼び合わなきゃなんないの？！俺はルーハンだ！変な名前で呼ばれたくないね！』



「あいつのことも、お前だけはずっとシウミンと呼ばなかったもんな。大したもんだよ」


…ミンソクは、組織に入って唯一の同い年ってウーファンに紹介されてから、
俺の中では仕事仲間であり、友達だったんだ

「ミンソクは、俺の友達だもん。チェンがレイのいる医務室を癒しの場って言うなら、俺にとってはミンソクのいるすべての場が癒しの場だったし」

もちろん、医務室も大好きだったけど…
レイとチェンと一緒にいる医務室も…さ




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