切なすぎる ページ4
家に着くと、グクはさっと踵を返し、集会場の方に戻ろうとした。
「グク、ありがとう。」
そういうと、グクは照れたように手をひらひらさせると走り去ってしまった。
「ほんとうに素直じゃないよなあ。」
ミミが家の扉を開けると、さっき捕ったイノシシがご丁寧に解体されて横たわっていた。
「あ、明日おばちゃんにお礼言わないと。」
ミミはイノシシをよけて、土間に上がる。かつて夫婦と三人で住んでいた家は、ミミ一人には少し大きすぎた。
「捨て子かあ。」
一人になると、さっきの哀しさがぶり返し、ミミの頬を涙がつたった。
「誰なんだよ、私の親は。なんで私を捨てたんだよ。」
夫婦がはじめてミミに実父母の話をしたのは、ミミが十歳くらいの時だった。見つけられた時に着ていた服が立派で襟に「MIMI」と縫い取りがあったことから、ミミはその頃よく妄想をしたものだった。
実はどこかのお姫様で、陰謀により誘拐され、捨てられた「ミミ姫」の話は当時のミミのお気に入りだった。
しかし実際は実父母が現れることはなく、さらわれた姫の話を聞くこともなく、ミミはすでに諦めていた。
「捨て子の重さ」に気づいたのは、その少し後だったかもしれない。
村の女の子たちと話していると、もちろん皆にとってグクは憧れだったが、ある一人の女の子がご丁寧にもミミに告げたのだ。
「ミミちゃんはチョン族じゃないから、グクとは結婚できないの。」
「グクはね、チョン族で一番の女の子と結婚するのよ。」
そう告げた子は女学校を卒業して早々に、グクではない中央の商人の子に嫁いでいった。
しかし彼女の発言は少なくとも半分は正しかった。
ただ、今のところグクは誰にもなびくことはなかった。
村の少女たちのなかで最もグクの近くにいるのはミミかもしれなかった。
他の少女らは中央に花嫁修業に行ったり、すでに許嫁を親が見つけていたり、そうでなくても家で家事をする子が多かったが、生まれつき運動神経がよく、活発だったミミは今は亡き族長(ホソクとグクの父)に認められ、女ながらも狩りをしていた。
もちろん熊や虎は仕留められないが、イノシシやシカは平気で捕まえられる。
そんなミミにも関わらず、「チョン族でない」それだけでグクとは結ばれない。
それ以外には寛容なチョン族だったが、その点だけはミミに厳しかった。
「早くどこか、グクのいないところに行きたい。」
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AULA−輝き(プロフ) - ユンギさんとテテ…。まあ友達ではありますね。いい人が見つかるといいな… (2019年4月4日 16時) (
レス) id: a376a7214f (このIDを非表示/違反報告)
闇子(プロフ) - ユンギさんとテテはどうなりますか？ユンギペンなもので、気になります。 (2019年4月4日 16時) (レス) id: a376a7214f (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 面白いので、ぜひ完結してください。 (2019年4月4日 16時) (レス) id: a376a7214f (このIDを非表示/違反報告)
茜★(プロフ) - 更新待ってます！ファンタジー風だけど、すごく人物描写がいいです。 (2019年4月4日 15時) (レス) id: a376a7214f (このIDを非表示/違反報告)
りんご姫(プロフ) - 前作の得体の知れない少女と不良たちから飛んできました！素敵な作品です。 (2019年4月4日 15時) (レス) id: a376a7214f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：AULA −輝き | 作成日時：2019年3月6日 13時
