倍増する癒し ページ31
ニノ「どっか痛む？」
翔「う、腕・・・ｲﾃｪｯ」
ニノ「ちょっと待っててね」
ナースコールで看護師を呼ぶ。
手を貸して２人掛かりで翔を車椅子に乗せる。
翔「ｲﾃﾃｯ」
翔を部屋まで連れて行く看護師。
ニノ「翔ちゃんやっぱり病気が進行してるのかな・・・」
ｽｩｽｩと静かに眠っている智。
智のふわふわの茶色い髪に触れる。
ニノ「かわいい顔しちゃって・・・」
智の顔を見るとホッとする。
この人は顔だけで人に癒しを与えられる人なんだ。
喋ったら癒しが倍増しちゃう、不思議な人。
久しぶりに気持ち良さそうに眠ってるのが嬉しくて、
何より寝顔がかわいくて、ついついおでこを撫でて、
フニフニとほっぺまでつついてしまう。
智「ん・・・」
智の瞼が動く。
ニノ「あっ」
起こしちゃったかな・・・
一瞬、ヒヤッとする。
またｽｩｽｩと落ち着いた呼吸を始める智。
ニノ「ふぅ、セーフ。」
あんまりいじくったら起きちゃうよな、どんな夢みてんのかな？
そんなことを考えながら、椅子に座って本を開く。
しばらくそうしているうちに、眠たくなってきた。
智の顔をじっと見つめる。
小さな顔。
大きな目。
垂れ下がっている眉毛。
綺麗に通った鼻筋。
小さな唇。
ふっくらしている頬。
真っ白な肌・・・。
どれをとっても美少女でしかない。
ただ、上にピョンと立ち上がっている短い髪の毛と、
細い首に付いている喉仏だけが男性であることを主張していた。
まじまじと観察していると、突然智がﾋﾟｸﾘと動いた。
智「ﾝﾝ・・・ｺﾞﾎｯｺﾞﾎｯｺﾞﾎｯ」
ニノ「あ、また咳でてきちゃったかな」
智の症状を本で読んでいたニノ。
心臓の肥大で気管支が圧迫されて咳が出るらしい。
智はここのところ頻繁に咳込んでる。
智「ん、・・・・・・ｺﾞﾎｯ」
ニノ「智？起きたの？」
智「・・・ニ・・・ノ・・・？」
ふにゃりと笑う智。
あぁ、この笑顔だけはずっと変わらないでほしいなと思うニノ。
智「な、に・・・いいこと、あった？」
ニノ「えっ？」
やばい、顔に出ちゃってた？！
更にニヤけるニノ。
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作者名：天の子 | 作成日時：2019年7月14日 14時
