こわかった ページ21
酸素マスクをして眠っている智。
細い智の手を握るニノ。
ニノ「どうしちゃったの・・・目覚まして？」
しばらく動けずに、ひたすら智の手を握る。
ﾋﾟｸｯと智の手が動いた。
ニノ「！」
瞼がゆっくりと開く。
ニノ「智？わかる？どっか痛いとこない？」
智「・・・・・、ニ、・・・ノ・・・・」
ほとんど聞き取れない智の声が、ニノを呼んだ。
ニノ「うん、そうだよ？しんどくない？」
智「・・・・・・・んぅ・・・」
ナースコールを押し、目を覚ましたことを知らせる。
わずかだが智の指に力が込められる。
ニノ「ん、どした？どっか辛い？」
智「・・・い、・・・か、・・・な・・・で・・・」
眉を八の字にして、必死に訴えてくる。
ニノ「うん、ここにいるよ？
・・・鼻血、出ちゃったの？」
智「・・・んぅ・・・ティ・・ッシュ、・・・たり、・・・な、くて・・・」
ニノ「そっかそっか、こわかったね。もう血は止まってるからね？」
その時のことを思い出したのか、涙目になる智。
ニノ「がんばったね・・・」
思わず智を抱き締めると
安心したのか、そのまま眠ってしまった智。
あっという間に昼御飯の時間になり、
一度部屋に戻るニノ。
ボーッと考え事をしながらご飯を食べる。
ニノ「心臓以外にもどこか悪いのかな・・
それとも、調子が悪くてたまたまだったのかな・・・？
トイレでどのくらいあぁしてたんだろ・・・
かわいそうだったな・・・」
気がついたら、ご飯をﾎﾞﾛﾎﾞﾛとこぼしていた。
ニノ「俺の頭ん中どんだけ智のことで一杯なんだよ・・・」
なんとか全部食べ終わり、トレイを戻しに行く。
ニノ「あ、翔ちゃん」
翔「ニノ〜」
嬉しそうに笑う翔の頭には、包帯が巻かれている。
ニノ「頭、どしたの？」
翔「あ〜、昨日ベッドから落ちてさぁ。しかも頭から(笑)ドジだよなぁ〜」
なんでもない事のように
ﾊﾊﾊと笑う。
ニノ「え？！大丈夫なの？」
翔「ん、ちょっとぶつけてノーシントー起こしただけだから。」
遠くのもの取ろうとして横着しちゃったの、と笑う翔。
ニノ「あんまムチャしないでよ？」
翔「じゃ、またね」
ニノ「うん」
杖をつき、ゆっくりと歩き出す翔の後ろ姿を見送る。
ニノ「さて、智んとこ行きますか」
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作者名：天の子 | 作成日時：2019年7月14日 14時
