かくまって♪ ページ2
ニノ「ね、そろそろ戻ろっか？」
黙って頷く智。
また、ﾍﾟｯﾀﾗﾍﾟｯﾀﾗとゆっくり廊下を進み、508号室へ戻る。
ベットに入る智を見て、少し考えるニノ。
ニノ「あのさ、少しここにいてもい？」
ﾌﾆｬﾌﾆｬと笑いながらニノの腕をとり、ベットに引きずり込む智。
ニノ「ﾝﾌﾌ、少しかくまって♪」
黙って頷く智。
智を近くで見ると肌は白く透き通っており、その小さい顔は整っている。
スウェットをﾌﾞｶﾌﾞｶに着ている小さく華奢な体に、このベットは少し大きいようだった。
ニノ「近い、ﾝﾌﾌ」
なんだか少し照れて、布団に潜るニノ。
お互いになんとなく手を繋ぎ、安心感に包まれる。
ニノ「ん・・・」
いつの間にか眠ってしまったニノ。
そこへ、扉のスライドする音。
看「点滴のお時間ですよ〜、あらっ」
ニノに気づいた看護師が驚いている。
看「またこんなところにいたのね？」
と、自分の部屋に戻るよう促される。
仕方なくﾍﾟｯﾀﾗﾍﾟｯﾀﾗと自分の部屋へ戻るニノ。
看「探したのよ！注射の時間は部屋にいなきゃだめじゃない。」
ニノ「へぇ〜い」
やる気のない返事をして、仕方なくベットに入るニノ。
ニノ「・・・起きたら寂しがってないかなぁ」
独り言ちながら、注射を受けた。
思えば、２人の付き合いもそこそこ長い。
初めて入院したニノは、病院での暇の過ごし方を知らず、行く宛もなく院内を散策していた。
そんな時、廊下の隅に茶色い長椅子を見つけ、落ち着ける場所と巡り会えたことに満足した。
そこへ、近づいてくる足音。
ﾍﾟｯﾀﾗﾍﾟｯﾀﾗとゆっくりした足取り。
ﾌﾞｶﾌﾞｶの黒いスウェットに、青いサンダルを履いたフワフワ頭の青年。
歳は、同じくらいか少し下に見える。
前髪は寝癖のせいか、元々の癖なのか上にﾋﾟｮｺﾝとはねあがっており、全体的に短髪で少し茶色がかっていた。
智「あ、ちょっ、いい？」
長椅子に座りたいのか、少し申し訳なさそうに聞いてくる智に、ニノは慌てて横にずれた。
色白の整った顔立ちから発せられた声は、思ったより高めで少しかすれている。
そして、何を話すでもなく、ただボーッと外を眺めていた。
そのあどけなくもキレイな横顔と、ふわふわした茶色い髪に思わず見とれるニノ。
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作者名：天の子 | 作成日時：2019年7月14日 14時
