午前0時、アメリカーノに (ページ38)

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仕切り直しページ38

「飲みすぎた…」

『大丈夫？1人で帰れそう？』

「タクシー拾うから…Aこそ1人じゃ危ないだろ。」

『私は急行乗れば1駅だから。テヨンは心配しすぎだよ、ほら吐く前に帰った！』

「吐かねえよ、じゃあおやすみ。」

『おやすみ。』

テヨンと一緒に帰るコースを無事回避して、あのカフェに行くことにした。

ここのところ毎日のように行っているけれど、未だにミンギュとは会えずにいる。
だから、もし今日ミンギュに会うことがなければ、あのカフェには金輪際行かないことにしようと決めたのだ。ミンギュのことはもう無かったことにしてしまおう。
撮影で会うこともあるだろうけど、忙しいことを理由に逃げればいい。実際本当に忙しいし。

そもそも、ミンギュと親しくなること自体大きな間違いだったんだ。
今からでもまだ遅くない。間違えた部分は本来あるべき状態に修正すればいい。もうミンギュと親しかった事実も、ちょっと好きだったことも忘れよう。

そう、忘れようと決めたのに…

「久しぶり。」

受け取りのカウンターで偶然にも居合わせてしまった。
なんでこう、会いたくない時に限って。

『久しぶり…。』

「ヌナ、ちょっと話そうよ。」

『話すことなんてないよ。』

「俺があるの。」

その必要もないのに強がってしまった挙句、ミンギュに強く言い返されて半ば無理やり席に座らされた。

「単刀直入に…この間のこと謝ろうと思って。」

『うん。』

「からかうつもりで言ったんじゃなかったんだ。だけど俺馬鹿で…」

『それから？』

「ヌナのことを全然考えないで自分の気持ちばかり優先させて先走って、自己中で…」

『それから？』

「…まだ言わなきゃだめ？俺メンタル豆腐になるんだけど…泣きそう！」

『ごめん。』

からかい半分で謝罪の受け答えをしてしまったけれど、面白い一面が見れた。
ミンギュは案外メンタルが弱い。それも彼らしくて面白かった。

『充分伝わったよ。もう怒ってないなら。』

「ほんとに？」

『うん。』

「本当に？」

『本当だって。』

「でも…あ！そうだ！ヌナ、デートしよ！」

『え？』

「この間の仕切り直し！！埋め合わせさせて！」

そしてまた無理やりミンギュに連れ出されてた。
本当は、このタイミングで好きって言おう思っていたのに。
あんなにキッパリとデートと言うなんて…やっぱり私は期待してもいいのだろうか。

だって私たちは、まだ互いの気持ちすら伝えていない中途半端な関係のままだからだ。