午前0時、アメリカーノに (ページ36)

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やれるもんなら(MG) ページ36

慣れすぎた道を歩いて、Aヌナをあちらこちら探すこと数時間。
会えないとは分かっていたけれど、それでも諦めたくなかった。

"とっとと彼女に謝れば？"

"せいぜい頑張んな、俺に先越されたくないんだったら"

ヒョンの言う通りだった。
回数こそ少ないものの一回一回、会った時の出来事が濃かったから、俺は甘い汁を吸って大きな進展へと持っていくことなんてしなかった。

いつも偶然会っただけ。連絡先だってまだ知らない。

「ヌナ……どこ。」

呟いてもAヌナに聞こえはしないのに。

「ただいま。」

「ミンギュ…！お前どこ行ってたんだよ！」

宿舎に戻ってきたのは23時。ミンハオが大慌てで出てきた。

「なに、そんなに慌てて。」

「バレてるぞ。」

「え」

玄関で話していた矢先、ミンギュと俺を呼ぶジョンハニヒョンの声がした。行けとミンハオに促されて、ヒョンの部屋に行った。

「Aとは会えた？」

「…いいえ。」

「お、今日はやけに素直じゃん。しらばっくれるのかと思った。」

「どこ行ってたんですか。」

「誰が言うか。」

ヒョンはやけに不機嫌だった。

「俺Aにキスしたよ。」

「そうですか……え、え？」

「詳細は省くよ。とにかく、俺はあいつのこと諦めないから。」

「Aヌナは、なんて？」

「…なんとも言えない顔してたよ。残念ながら。」

あ…、と察してしまった。返す言葉がない。
ヒョンは俯いて部屋を出ていこうとした。だけど俺の前で突然立ち止まって、胸ぐらを軽く捕んできた。なんて暴力的なヒョンだ。

「お前もいい加減本気になんねえと、本当にあいつのこと奪うからな。」

「やれるもんならやってみてくださいよ。」

先ほどよりも強い火花がちっている気がする。もうこれ以上は、ジョンハニヒョンに負けたくなくて何とか対抗しようと気づけば反論して、必死にもがいていた。

明日こそAヌナに会って、俺はちゃんと本当のことを伝えよう。

今度はちゃんとヌナに好きって言うんだ。