真夜中に咲く薔薇【藤北夢小説】 (ページ35)

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理性か、本能か 3 ページ35

「美味しいか知りたかったら自分の血舐めてみる？」

俺は彼に挑むような視線を向けながら言った。
人間の挑発に乗るほど俺は簡単じゃない。
でもこの男、面白い。
もっと血以外のことを知りたい。
俺の中で彼を知りたいという欲求が少しずつ大きくなっていった。

「自分の血はいいよ。血の味とか俺わかんないし。」

「それより北山くんは俺の事怖くないの？」

俺は彼を組み敷いたまま、視線を逸らすことなく問いかけた。

「怖いというより、藤ヶ谷くんに興味がわいたって言ったらダメ？こんなに綺麗な顔してるのに牙生えてるし、目の色も真っ赤だし。俺の血が美味しいっていうし。人間、ではないよな？」

この状況でも冷静に目の前で起こっている現実を理解しようとする彼は好奇心が多い無邪気な人なのか…今は分からないけれど。彼には隠しても無駄だと思い俺は自分の正体を明かすことにした。

「俺、吸血鬼。君の血が美味しすぎて、ずっと欲しかったんだよ。それで君に近づいたって言ったら？」

彼はしばらく俺を見つめたあと、口を開いた。

「ほんとに居るんだな。」

「今、君の目の前にね。」

「現実感ないな。」

「その割には冷静だよね。」

「そう？これでもかなり驚いてる。」

「北山くんは顔に出ないタイプか。」

俺は微笑みながら、彼の首筋についた傷跡にそっと手を這わせた。