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足早に音を刻む心臓。
鼻孔を擽る香りが、本能を刺激する。
眼前には、どうぞ噛みついてくれと
言わんばかりの無防備な首が。
喉が渇く
腹が減る
また、悪魔が囁く。
1尺もない距離が、俺を試す。
コレがわざとなら、相当性格が悪い。
薄紅の唇が、ころころした声で自分を呼ぶ。
『若……』
生唾を飲み込み、奥歯を噛んだ。
伸ばす手が遠慮気味に白い頬をなぞる。
掛かる髪を耳に掛けれな、月が顔を出す。
そこには少し目を細める葵が。
あぁ、クソ…
煽んな
どうなっても知らねぇぞ…
指先が首に掛かりそうになったその時
『…いッ、痛い痛い痛い!』
葵の頬を思いっきり引っ張った。
「間抜け」
『心配してあげたのに、この仕打ち⁉』
「お前が俺の心配すのなんて、10年早ぇ」
からかうように笑い、立ち上がる紅丸。
立ち去る背中に、ふざけるなと、声を掛ける葵。
悪態をつく葵を残して、縁側を後にした。
灯にない静まり返った廊下に
1人しゃがみ込む紅丸。
「クソっ…」
まだ、心臓が五月蠅い。
顔が熱い。
忘れようとするほどに、何もかもが鮮明になる。
五感の全てにアイツがいる。
でも、流石にヤバかった。
咄嗟に誤魔化せたからいいものの
いつまで我慢が利くか……
頭を掻いて、ため息を吐いた。
力なく壁に頭を預ける。
見上げた天井に、もう一度ため息を吐いた。
求めるほどに飢えを覚える
欲しいと思う程に乾いていく
アイツの全てを、この腹に納めてしまいたい
この手で汚したい、暴きたい
全部奪いたい。
そう思う程に何にも染まらず
綺麗なままでいて欲しいと願う自分がいる。
壁に手をついて立ち上がる手に
葵の温もりが残っている。
その手にそっと唇を落とし
逃がしてしまはぬように強く握りこんだ。
そして、欠け始めた月は己の意気地のなさを呪った。
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たんぱく質(プロフ) - なっちんさん» 長文になってしまい、大変申し訳ありません。以下が、この作品に設けた私なり定義です。なっちゃん様や他の読者様には、ご不便をお掛けしますが、なにとぞご容赦を頂ければと。 (2020年7月12日 8時) (
レス) id: aad2ad7f17 (このIDを非表示/違反報告)
たんぱく質(プロフ) - なっちんさん» 2つ目は、私個人の思い入れです。葵とは、太陽向かって成長する植物です。漢字自体も太陽と関わり深く、それで紅丸との関係性を表現しています。また、紺炉と紅丸の名前に色が含まれており、設定上紺と同系色の響きのある名前でイメージを統一する必要があったからです (2020年7月12日 8時) (レス) id: aad2ad7f17 (このIDを非表示/違反報告)
たんぱく質(プロフ) - なっちんさん» 1つ目は、物語の雰囲気を優先したからです。薄々とは感じて頂いていると思いますが、この3人の関係にはウェイトを置いていて書いております。その為、名前というキャラクター構成の要となる部分が不確定だと、物語を引き締められないと判断し、使用しない事にしたのです (2020年7月12日 8時) (レス) id: aad2ad7f17 (このIDを非表示/違反報告)
たんぱく質(プロフ) - なっちんさん» コメントありがとうございます。名前の変更はコレを書くと決めた時に、熟考を重ね、しないと決めたので、大変申し訳ないのですが致しかねます。長文になりますが、名前変更をしなかった理由は2つあります。 (2020年7月12日 8時) (レス) id: aad2ad7f17 (このIDを非表示/違反報告)
なっちん(プロフ) - 初めまして^^*お話とても好きです∩ω<`あの名前の変換はできないのでしょうか(;o;)?? (2020年7月12日 7時) (携帯から) (レス) id: 86e7fd8910 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たんぱく質 | 作成日時：2020年7月8日 21時
