第179話 ページ36
「ねえ、どうする?あれ」
あれ、とは
今も後ろから3人を追いかけている先ほどの少女のことだ
森に入り、走り続ける彼らにずっとついてきている
『...』
「ほっとけほっとけ
山賊が出たらどさくさでまけばいいよ」
「それはちょっとひど過ぎない?」
『大丈夫でしょ』
「え?」
『なんで私たちについてくるのかはわかんないけど
あの子だってツェズゲラが合格させた念能力者だ』
「そーそー
やばかったら逃げるくらいできるだろ」
『...』
Aはいまだ、2人の後ろを走り続けている
日が沈み、随分と暗くなった
わずかな月明かりのみで、森を走り続ける3人
「思ったよりついて来んなぁ」
少女はいまだ3人の後ろを走っていた
Aがちらりと後ろを一瞥した時
『!...山賊』
そう、店主から聞いていた山賊に出くわしたのだ
しかし、山賊たちは勢いよくこちらに飛びかかってきたと思えば...
「助けてください!お願いします!」
「「『え?』」」
山賊たちに連れてこられたのは彼らの家であろう場所
中には布団に寝かされた少年が目に入る
「島の風土病です
微熱から始まって徐々に高熱になっていきついには死に至ります」
「対処法は薬で熱を抑えるしかありません
しかし薬の効き目は1週間」
「この薬がとても高く、もう我々の手元には一銭も...」
そう話す彼らもずっと咳が出続けている
どうやら全員がこの病に罹ってしまっているらしい
「伝染病?」
「っていう設定だろ、あくまで」
『こんなのもあるんだね』
「このままではこの子は2、3日中に死んでしまいます」
「なんとかお金を恵んでいただくことはできないでしょうか?」
「これもゲームのイベントだよね?」
『多分?』
「金をくれればお得なアイテムとか情報とか提供しますよってことだな
そこでゴンがいくら位必要か問うと
「8万ジェニーほど」
『お金なくなっちゃうじゃん』
「こっちの情報知った上での回答だな」
すると、今まで黙っていた少女が声を上げる
「あの!私8万ジェニーならなんとか出せますけど」
「ああ、いいからちょっと黙っててくれる?」
しかしまたもキルアにバッサリと切り捨てられる
「わかりました
8万ジェニーお渡しします」
「本当ですか!」
「おかげでこの子も助かります!」
その時寝たままの少年がうわ言のように寒い、とこぼす
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作者名:SHINKAI | 作成日時:2022年9月9日 19時