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第146話 ページ2

「...」


そこで初めて自分の目が緋の目に変わっていることに気づいた
Aの瞳にも、うっすらと緋が写っている


『でも、綺麗』


「私は、Aの瞳の方が綺麗だと思うよ」


『...口説いてるの?』


おどけたように笑うA
やっと、笑った顔が見れた


「そう取ってくれて構わない」


『え?

 わ!ちょ、っと!』


返答に驚いた隙をついて膝の裏に手を回して抱え上げる
何かを言っていたが、お構いなしにその体をベッドに下ろす


『え、何...』


腕で体を支えるAの上に覆いかぶさり、今度は私が頬に手を滑らした

少し警戒するような表情が面白い


「綺麗に、なったな」


『!...レオリオと同じこと言ってる』


「...」


『はははいやそうな顔』


「ハァ...

 A、今日は帰らないのか?」


『帰ってほしいなら帰るよ
 
 ...いてほしいなら、いてあげる』


挑発的な笑みを向けられ、目がじわりと熱を放った
いつの間にか戻っていた緋の目がまた顔を出す

正直、今はあまり自分を制限できない
Aの冗談にも、付き合う余裕がない


「(あまり煽らないでほしいものだな)

 今日はここにいてくれ」


『っ』


「?」


首元に顔を埋めそう言うと、Aの肩がびくりと跳ねた

どうしたのかと思い、顔を上げると


「...」


『...っ』


大きな動物の耳が生えたAが顔を真っ赤にしていた
耳に触れるとふるりと震える

その手を滑らせ首をツゥ、と撫でると何かを耐えるように唇を噛む


「(ああ、首が弱いのか...)」


首元に顔を埋め、そっと唇を這わす


『ッやだ!』


驚いたというより、怖がるような態度だった


「すまない
 もうしない」


最後に会った時よりも幾分か伸びた身長に、女性らしくなった体
それでも自分より小さな体

優しく抱きしめ腕の中に閉じ込めた
暖かい体温に優しい香り
さっきまで熱かった目が落ち着いてきた

瞼を閉じると一気に体から力が抜け眠気が襲ってくる


『...』


頭を撫でられる感覚を最後に、私の意識はそこで途切れた


『おやすみなさい』

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作者名:SHINKAI | 作成日時:2022年9月9日 19時

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