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第57話 ページ12

キルアside


家に帰ってきてからすぐにここの独房に入った

鎖で手足を固定されて、飽きもせずにミルキの野郎が俺を鞭で殴り続ける。


まあ、こんな鎖もすぐに千切れるんだけどね
鞭も、痛いけど大したことない

ただ何もする気になれないからここに残ってやってるだけ


「(ゴン達、試しの門開けれたかなー)」


さっきゴン達がここに来たと教えられた
こんな俺に会いにきてくれた
早く会いたい


「(A、来てくれたかな...)」


淡い期待を抱きながら、振るわれる鞭をぼーっと眺めた。


「キルア」


「じいちゃん!?」


扉が開いたから、またババアがきたのかと思ったけど
今度はじいちゃんだった

珍しいなーくらいにしか思わず、なんとなくそっちに目を向ける。


「...!!」


「なんだよそいつ!
 じいちゃんが入れたの!?」


「ミルキ、そう騒ぐな
 こやつはワシの客人じゃ」


「客ぅ!?」


「...A...」


「はぁ!?」


『っ...キルア!』


開いた扉の先
じいちゃんの隣に立ってたのは新しい服に着替えたAだった。

信じられなかった
なんでここにいるんだとか、来てくれたんだとか

色々言いたいことはあったのに、名前を呼ぶことが精一杯で...

Aは泣きそうな、嬉しそうな顔で俺のところに走ってきた。


「おい!!」


「っ!」


ミルキの怒号も耳に入れず、真っ直ぐ俺のところにきたそいつは
飛びつくように俺に抱きついた

驚いたけど、もちろん嫌なんかじゃなかった
抱きしめ返せない今の状態を、死ぬほど恨んだけれど


『キルア...っよかった、会えた
 やっと会えた...っ』


「...ばーか、たかが数日会ってないだけだろ?」


『それでも、寂しかったんだよ
 ばか』


苦しいくらいに俺に抱きつくAは嬉しそうに笑った

Aの香りが一気に鼻を通って痛かった体が少しマシになった気がした。


『会いたかったよ、キルア』


俺の両頬に手を添えて、至近距離で笑ったAを見て
ああ、もういいやって、漠然と思った。


「あ!おい!!」


「ほー、やるのう」


手に繋がれた鎖を千切って、力一杯Aを抱きしめた。
Aは最初は驚いてたけど、すぐに背中に腕を回してくれた。


「(あーくそ、なんだよこの感じ)」


今まで感じたこともないような感情が心を満たす


「俺も...会いたかった」


キルアside終了

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作者名:SHINKAI | 作成日時:2022年8月24日 22時

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