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第37話 ページ39

そこから、どれだけ時間が経ったかはわからない

数十分か、数時間
私はいまだに彼女に一撃も入れることができていなかった


「はっ、く、そ...!」


『...』


飛んでは跳ねて
私の攻撃をひらりひらりと躱すAは、未だに疲れは見えない。

そして私の隙をつき何度も蹴りを入れられる

勝ち目は、おそらくないのだろう...

それでも、諦めたくなかった


「ハ...ッ
 ...っま、て...!」


『一つ、教えてあげる』


「っ!」


木刀を振るった私の手を掴み、突然手前に力強く引かれる

ただでさえ体力が削られていたため、私は何もできず地面に仰向けに倒れさせられた


「グ...ッ!」


鈍い痛みが背中に走る

木刀は遠くに蹴られ、腹の上にAが座っている
左手はAの右足に踏まれ右手は左手で掴まれ完全に固定された

そしてAの右手は私の首にかかっている


『...』


緩く力が加えられ、わずかな息苦しさが襲ってくる


「...っ」


『君、冷静なように見えて意外に感情的な面があるでしょ
 
 焦りや不安からくる心の乱れ
 それのせいで動きが単純化して、避けるのなんて簡単だったよ』


「(くそ...っ)」


体を動かそうとすると、さらに首に圧がかかる


『動きも悪くない
 鍛えればもっと強くなる

 でも今君が勝つことはできない』


今日何度目かもわからない言葉だ

Aは私の首から手を離し、足も退ける
その代わり両手を絡めるように握られ、いつの間にか押し倒される形になる


外野でレオリオやハンゾーが
おいおいおい!それはまずいだろ!ここではダメだろ!!
などと騒いでいたが、正直私にはそんな余裕はなかった


『わかるでしょ?
 今君がすべきことは、この試合にこだわる事じゃない』


傷ひとつない、端正なAの顔がさらに近づき鼻と鼻が触れ合う


「ハ、ハ...ッ」


まるで見えない何かに押しつぶされている気がした
息をするのがつらかった

目が、ジワジワと熱を帯びていく


...殺気とは違う
Aからたまに漂う独特の威圧感


『...クラピカ
 言って...?』


「っ...

 ...まい、った...
 私の、負けだ...」


『...』


降参の意を示した瞬間
先ほどまでの重苦しさが嘘のように体が軽くなった

うまく吸えなかった空気が一気に鼻と喉を通る

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設定タグ:HUNTER×HUNTER , ハンターハンター , キルア   
作品ジャンル:アニメ
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SHINKAI(プロフ) - 蒼さん» ありがとうございます!そう言って頂けるとすごく嬉しいです!これからも作品をよろしくお願いします! (2022年8月31日 0時) (レス) id: 9829dd467f (このIDを非表示/違反報告)
- HUNTER×HUNTERの世界観にあった文章でサクサク読み進めることが出来ました。とても面白かったです! (2022年8月30日 23時) (レス) @page48 id: 1c5f686e4f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SHINKAI | 作成日時:2022年2月11日 4時

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