第17話 ページ19
クラピカside
憤り。
私のそれは、クモへのものだ。
そして彼女は．．．何もわからない自分への不安と疑問が生んだ
自身への怒り。
「(なんて悲しいんだろう
そして．．．無性な寂しさ)」
『そして二つ目は．．．誇り』
「誇り？」
『うん
覚えてない？
クラピカ、あの時私に言ったよね
その目は、緋の目は私の誇りだ、って』
「．．．あぁ」
Aの横顔から目を逸らし、あの時と同じように片目を覆うように触れた。
『私にもあるの
大切な誇りが』
「ぇ．．．？」
先ほどまでとは違って、わずかに跳ねるような声に思わず顔を上げた。
閉じていた目は突然の光に少し眩み、それでもなんとかAの方に目を向けた。
夜景を見ていたAの視線は、今はしっかりと私に向けられていて
Aの瞳が真っ直ぐ私を射抜いた。
「っ！」
視線が絡み合った瞬間、じんわりと瞳が熱を帯びた気がしたのは、きっと気のせいではないだろう。
なぜなら、彼女の瞳の中に僅かに見覚えのある緋色が見えたから。
『．．．！
綺麗
宝石なんかよりずっと
まるで瞳の中に炎を飼ってるみたい』
彼女の細い指先が、私の頬を滑り目尻をゆるりと撫で上げた。
不思議な心地良さだった。
思わず擦り寄るように彼女添える手に頭を傾げる。
それに答えるように、1回、2回と頬を撫でた。
それでも足りず、もっと近くに
そう願い彼女の手の上から自分の手を被せ隙間を埋めるように握り込む。
その間、彼女はじっと私の瞳を見つめていた。
瞳に写った炎が何かを訴えるようにユラユラと揺れている。
「君の．．．」
『．．．』
「君にとっての誇りとは、一体．．．」
彼女はしばらくジッと私を見つめ形のいい唇に弧を描く。
『私が、私であることだよ』
「．．．！」
引き込まれた
外に広がる宝石が散りばめれた景色よりも
彼女の中に揺れる緋色よりも
彼女自身の心が写しだされた瞳に、表情に
その全てに魅せられた。
「(あぁ、綺麗だ．．．)」
クラピカside終了
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SHINKAI(プロフ) - 蒼さん» ありがとうございます！そう言って頂けるとすごく嬉しいです！これからも作品をよろしくお願いします！ (2022年8月31日 0時) (
レス) id: 9829dd467f (このIDを非表示/違反報告)
蒼 - HUNTER×HUNTERの世界観にあった文章でサクサク読み進めることが出来ました。とても面白かったです！ (2022年8月30日 23時) (レス) @page48 id: 1c5f686e4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SHINKAI | 作成日時：2022年2月11日 4時
