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文化祭当日
特にやることもない私は友達と校内を回っていた。
そして中庭を歩いていたところでふと顔を上げると
屋上階の渡り廊下に京本くんをみつけて。
なんだかそれが、すごく気になって
友達と写真撮るからちょっと抜ける〜なんて
小さな嘘をついてその場から離れる
受験勉強ばっかりで運動不足なせいで
最上階にたどり着く頃には息が上がっていた。
…元運動部の称号も廃る。
渡り廊下に続くドアを開けると一瞬強く風が吹いた。
まだ彼はそこにいて
穏やかな表情で、校庭を眺めていて
…目線の先に、何があるのか知りたいと思った。
真っ直ぐに通った鼻筋
遠くからでも分かる長い睫毛
風が揺らす彼の毛先は真っ直ぐに伸びて
顎から首にかけてのラインには無駄がない
彼の横顔を見るといつも
造形美、という言葉が浮かぶ。
あまり詳しくないけれど、
その横顔は父親譲りなんじゃないかなと思う。
「なにしてるの」
他に人はいなかった。
その瞳が私を捉えて、そして彼は
…自惚れだと思うけれど、嬉しそうに目を細める
桃「…Aさん来ないかなって、思ってた」
ーー風が、音をなくした
京本くんは照れたように
茶色いカーディガンの裾を口元に当てる。
…なんだそれ。
愛おしさと、…欲望としか形容しようのない感情が
体の奥底から湧き上がってゆくのを感じた。
そしてまた横を向いた京本くんの、隣に立つ
横に並べば、きっと彼は後夜祭の準備をしている
実行委員達を眺めていたんだと分かった。
金木犀の季節はとっくに終わっていて
冷えた空気が指先を冷やしてゆくから、
ワイシャツの上から着ていた
クラスパーカーの袖を少し伸ばす。
桃「…寒い？」
「…んーん」
寒いと言えば優しい彼はきっと中に入ろうと言う
…この時間が終わってしまう、と思った。
桃「…嘘つき」
体が触れ合うくらいにまで距離が縮まって
腕を伝って私たちは体温を共有する
京本くんは赤ちゃんみたいな
優しい匂いがする
「…好き、」
口から零れ落ちたような私の告白に
京本くんは くふふ、と声を出して笑った。
桃「俺が言いたかったのに、」
…心臓が、うるさくて
桃「…付き合って欲しい」
「…うん」
桃「好きです。…Aちゃん。」
初めて下の名前で呼ばれたその日
心の中に宿ったの感情に「好き」と名前をつけて
私たちは、一緒にいる約束をした。
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はる(プロフ) - なさん» な様、わざわざコメントくださりありがとうございます！楽しんでいただけて嬉しいです(^^)Xの方は迷惑行為対策としての一時的な対応になりますので、お気になさらないでください。もう少しだけお待ちいただければと思います！ (1月20日 7時) (
レス) id: 360781c527 (このIDを非表示/違反報告)
な(プロフ) - ど深夜も過ぎた明け方に見つけて、泣きながら読みました…。物語の繊細な空気感は、はるさんの言葉選びが素敵だからですね。泣きながら飛んだX、フォロー押した後にbio欄気付きまして…、通知増やしましたかね、申し訳ないです。。素敵なお話に出会えて幸せです。 (1月20日 5時) (レス) @page50 id: a662f9fc26 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - あみさん» あみさん、わざわざコメントありがとうございます！不器用さんたちばっかりのストーリー、気に入ってもらえて嬉しいです(^^) (2021年11月8日 23時) (レス) id: 4e8f9bb287 (このIDを非表示/違反報告)
あみ(プロフ) - キラキラした恋に憧れがちですが、実際は上手くいかないし、ズルくなったり誰かを傷つけてしまったりもしますよね。不器用で人間らしい恋愛模様に惹かれました。ピンクさんの美しさに戸惑いたいし、赤さんの際限ない愛が羨ましい…とっても面白かったです！すきです！ (2021年11月8日 17時) (レス) @page49 id: 1bfc2c8595 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - きらさん» きらさん、わざわざコメントありがとうございます！お付き合いいただきありがとうございました！ (2021年11月7日 10時) (レス) id: 4e8f9bb287 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はる
| 作成日時：2021年9月25日 11時
