熱愛がまじになる日 ⑶

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壱馬side


　
「A。どうかした？」

『ない。スマホ。』


　
楽しかった飲みも終わり、お会計に向かう途中

個室にスマホを忘れたのを気付いたらしく

取りに行ってくるからお支払いお願いしていい？

と、財布だけ手渡され個室の方へと向かって行った。

　
　
前に、俺も出すよって言ったけど首を横に振るだけで
折半でよくね？、ってのも突っぱねられたんだっけ


ここで俺が勝手に払ったら怒るやろうな、って思い
Aの財布からちゃんと支払いを済ませておいた


　
浦「スマホ見つかったんすかね」

陣「遅いけど、もしかして寝てへんやろな。笑」

壱「俺、ちょっと見てきますね」


　
心配になり、元いた個室へと向かうと

ちょうど靴を履いてるA、…と樹の姿もあった。


　
壱「…A、」

『あ、壱馬！あったよスマホ！』

樹「トイレの帰りにたまたま出くわして、笑」


　
まあそんな偶然を疑ってるんじゃないけど。

けどさ、なんでよりによって樹なんかな…って思うやん。


　
壱「みんな下で待ってるで、」

『うん、！』

壱「そんな慌てたら、」

『っ、と。…わ、ごめん…なさい。』

樹「大丈夫すか？笑」

『ヒールだからグラって笑、ありがとうございます』


　
ほら言わんこっちゃない。


ふらついたAの腕を咄嗟に掴んで
転びそうな体を支えてくれたのは感謝するけど

完全に嫉妬、それ以外のなにものでもない感情が湧いた。


　
樹「壱馬さん、支えてあげてください」

『泥酔してる人みたいに、笑』

壱「…こんな千鳥足なら酔っ払いやん」

『ちゃんと頭は働いてるもん』

樹「じゃあ先行ってますね？」

壱「ごめんな。ありがと」


　
Aの体を支えてやっと地上へと降りて来た。


待たせといて言うのもだけど解散という形にしてもらい

酔ってるけど頭は働いてるらしいAを連れ帰った。


　
ソファに座るなり、はぁあ、と全身を伸ばしてる。

ほんまに。俺の気苦労も知らんと…。ま、ええけど。


　
「…。」

『…。怒ってる、よね？』

「そう思う？」

『うん。だって顔がそう言ってるもん』

「じゃあこんな顔にさせてる理由も分かるよな？」

『それは…んー、？』


　
ほんまに分かってないんかな。

てかそもそも、なんでそんな酔ってんねん。

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