デートだ！ ページ48
ある日の部活がない放課後。
越前と並んで歩きながらその男、桃城武は今非常に悩んでいた。
桃「おかしいな……」
越「なにが？」
桃「おかしいぜ……」
越「だからなにが？」
痺れを切らした越前は自身が読んでいた雑誌から目を離し、桃城へと顔を向けた。
桃「橘妹がなんで俺ん家の電話番号知ってんだぁ？」
越「橘妹って？」
桃「お前も知ってんだろ？」
越前は脳内の記憶を引っ張り出し、以前地区予選前に行ったストリートテニスコートで1人の女の子がいたことを思い出した。
越「あぁ、……へぇ〜電話番号教えたんだ」
桃「ち、ちげぇよ！！だからおかしいなぁって！」
越「んなもん電話帳でも見たんでしょ」
桃「あ、そっか」
ポンっと手を鳴らし、あっさりと悩みが解けた桃城。
それで、とさらに追求すように越前は問いただした。
越「なんて言ってたの？」
桃「用があるから出てこいってよ。それでこれから行くんだけど」
越「ふーん。じゃ、俺ん家こっちだから」
自分から聞いておいて興味なさげに答えた越前は、自宅方面へと方向転換する。と、突然ガッと肩を掴まれた。
越「なんすか！」
桃「一緒に来い！」
越「はぁ？なんで！」
桃「いいから来いっ！」
越「人のデートに首突っ込むほど暇じゃないっすよ」
で、デートぉ！？と大袈裟な反応をし、若干頬が赤く染まった桃城。
桃「そそ、そんなんじゃねぇよ！」
桃「とにかく来い！」
越前は半ば無理やり引っ張られ、目的地へと向かわさせられるのであった。
・
・
杏「あっ、遅ーい！」
桃「わりぃわりぃ。こいつがトロっくてよ」
杏「こんには！越前くん」
越「こんちは。じゃあ俺ん家あっちだから」
その流れでそそくさと帰ろうとする越前の手をまたもやガッと掴んだ桃城。
桃「なぁ、用ってなによ」
掴んだままの状態でゴクリと喉を鳴らし、恐る恐る答えを待つ。
杏「ふふーん.......桃城くんとデートしようかなって思って！」
桃「デートぉ！！？」
越「ほら」
やっぱりね、とでも言わんばかりの表情で桃城をジト目で見る越前。
杏「越前くんも一緒にどう？」
桃「ほら、お前も誘われてんぞ！」
越「なんでっ！！大体、2対1なんておかしいでしょ」
どうしても帰りたいのか、ここぞとばかりに理由をつける越前。
だが、この何気ない一言が更に越前を帰さない事となった。
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作者名：ミズチー | 作成日時：2019年8月21日 14時
