[wrwrd]異様なオミセ (ページ23)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:11,516 hit

・ⅱ ページ23

目が覚めた。
朝、カーテンから光が差し込んでいる。
いつに寝たのかは全くわからなかったが、疲れがとれたわけではなかった。
眠気がなかっただけで、二度寝をしても良かった。

自分が要るところは現実だと確認するように左腕を上げれば、小指で黒い指輪が光った。

「はっ！？」

思わず上半身をおこし、ネジ取ろうとしてもピクリともしない。ただネジ取ろうとした右手のほうが痛くなった。
抜けることもなかったが、指に違和感を感じないくらいにはフィットしている。
キラリと光に輝くことはなかったが、見れば見るほど黒々と存在感を感じる。

現実にあったことだったんだ。
はぁー、と息をつく。具体的で現実味があったあれが、夢であったとしても私はきっと疑わない。
だが、夢じゃないよ、現実だよ、と言われれば疑う。
人間の思想は面倒くさいものだ。どちらとも疑うべきであり、疑わないべきであるのに、大人になればなるほど決めつける。
…まぁ、あれやこれが現実であったとしても、私は特に変わったことをしなくてもいいだろう。
この指輪も外れないのであれば、自然と注目されない程度に隠す。

そう考えれば、あちらの世界では私が異端者であるのにも関わらず、グルッペンのように説明をしてくれる者が多くいた。
夢ではないとすれば、私を知った口調な者も多かった。
と、冷静に分析してみるものの、わからないもののほうが多いし、今やっても効果はない。

取り敢えず、時計を見る。
午前六時。いい時間帯。
今日は確か、大学の一時間目から受けたい授業があるんだ。
それまでに色々準備しておこうと、布団から抜け出す。
ちなみにいうが、疲れはほとんどとれていない。

「――シマ？―――――――コネシマ？」

枕元にコネシマがいないことを不審に思って家中探してみたが、見つからず。
散歩しに行っているのか、もしくは飼い主的なものが見つかったか等等。
無事なことを祈り、洗面所へと顔を洗いに行く。
すごい短かったな、、彼は特に何も置いていったり、必要としていなかったから生活に変化はない。

洗面所で鏡を見て、化粧品を取り出せば、右耳の耳朶に赤黒いインクが薄くなったように十字がきられていた。

「うーん、髪の毛で隠せるか…」

中学時代は中二病心も疼いたものだが、今どきじゃ不審者としか見られない。
ササッと髪の毛で耳を隠し、大丈夫。
これはグルッペンのやつだろうか。
こういうのって主張が強いんだなとか、脳天気なまま玄関をでた。