恋と笑いは紙一重６【芸人短編集】

籠の中の鳥 【霜降り明星 粗品】 ページ31

すずさんのリクエストです。









・


森の中で罠にかけられた鹿。

保護施設の狭い部屋で眠る猫。


自由に飛び回りたいのに、
小さな籠の中に入れられている鳥。





鳥…、とり………、ニンゲン…人間。





私は鳥なんかじゃない、私は人間。
自由に動き回れる、自由に人と喋れる。


唯一無二の人間のはずなのに。





粗品｢ほなら、今日も仕事行ってくるから。留守番頼むな？｣





留守番なんて、
都合のいい言い方で誤魔化して。


また私をこの四角い箱の中に置いて行くのね。





ねぇ、鍵を開けてよ。

私の好きな時に好きなことをさせてよ。

なんだかお腹が減っちゃった。

欲しい服と鞄があるの。

見たいテレビ番組があるの。






お願いだから、私の話を聴いてよ。



それでも貴方は私を好きだという。

なら、こんなに酷いことあんまりじゃない。


貴方は自分に酔っているだけ。
私は何も関係ない。




私は部屋を出て行く貴方を見て
歯を食いしばった。





縛られる手首の痛みには慣れたはずなのに。


怖いなんて気持ちは忘れたはずなのに。


空腹なんていくらでも我慢出来るのに。







なのに、なのに。
私は冷たいフローリングに寝そべって泣いた。







窓の外を見ると、
自由に飛び回る鳥が横切った。

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