56-色男 ページ7
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濡れた前髪から覗く瞳は、ひどく色っぽくて。
じわじわと肌が熱に侵食されていく。
抱き締められたまま、視線が絡まる。
ポタ、と彼の髪から落ちる雫。
「A」
名前を呼ばれただけで切なくなってしまうこの感情は一体何なのだろう。
ゆっくりと近づいてくる彼の顔。かかる吐息がくすぐったくて片目を瞑る。その隙に凪くんの柔らかな唇が私の首筋に当たる。
少しの間吸い付いて離れていく。
凪くんは満足気に私の首筋を見下ろしている。
？
なんだろう。
小首を傾げていれば、開いている方の瞼を優しく撫でられる。きっと目を閉じろの合図だ。
____どうしよう、こんなムードの時に思うことじゃないかもしれないんだけど……。
やっぱり勉強したい……！
指定校推薦で楽して良い大学に入る為にも、成績は上位でキープしないといけない。その軸だけは絶対に変えたくないから。
凪くんの胸に手を伸ばして押し返す。
「まって、凪くん。待って」
待てを発動すれば、凪くんは不満気に「なに？」と言う。
「テスト勉強したい」
「じゃああとちょっとだけ」
「ごめん、これ以上は……」
「わかった」
「！……ありがとう」
恋人役としての役目を果たせないことに罪悪感を持ちつつも、私の言い分に理解を示してくれた彼に御礼を言う。……と思いきや。
「ん、……」
彼の胸を押し返していた手を取られて、指を絡めながらそっと唇同士が触れた。
……これ以上はしないって言ったのに。
言ったことを守らない彼を恨めしく思いつつも、触れた唇が彼の体温を忘れてくれない。
体を離して大きな手が頭をわしゃわしゃと撫でてくる。
「……、Aってさ、まだレオのこと好き？」
ノールックで尋ねられて、予想外の質問に頭が真っ白になりそうになる。
でも、なんとか持ち堪えて答えを導き出す。
……玲王のことが好きなのか、分からなくなってきている。だってもう2回も振られてる。だったら諦めるしかない。でも、まだ玲王を見ると特別な気持ちを抱いてしまうのも事実で。
それに、と他の考えも過ぎる。
私は玲王が好きで、凪くんは真凜が好き。
この前提があるからこそ、凪くんとこうして一緒にいられてるのだと気づいたら。その前提は壊したくないと思ってしまった。
「……うん、好きだよ。もう振られたけど」
「……そっか」
好きと口にした瞬間、何故かツキリと胸が痛んだ。
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はむスター(プロフ) - 夜夏さん» 凛くんの強者感が滲み出てますね😂 (2023年2月9日 17時) (
レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
夜夏 - 凛ちゃんの『勝った』が、めっっっちゃ好きです…！ (2023年2月8日 22時) (レス) @page46 id: 8f15f4a9c1 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - みはさん» ありがとうございます！夢主と同じ気持ちでお読みいただければと思います💪 (2023年2月7日 10時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
みは - ここからどうなるのかドキドキです😭🫶🏻 (2023年2月6日 21時) (レス) id: 48943adb31 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - 咲菜さん» 守るためとはいえ嘘をついて自ら離れていく選択は辛いものがありますね😢長い間お読みくださってるんですね、ありがとうございます！☺️これからもワクワクしながら読んでいただけるよう頑張ります！💪 (2023年2月6日 16時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はむスター
| 作成日時：2023年1月20日 17時
