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意外と歩いたように思える。体感として、20分程であろうか。
その間、山本君はあそこの店は今流行りだとか、あの建物はついこの間出来て話題だと云う事を話してくれたりした。
饒舌に話す彼を見て思い出す人物がいる。よく僕の事を真っ向から批判してくる奴がいた。
そいつは僕の書いた本を読んでは「帝国主義の慣れの果て」だとかあーだこーだケチをつけるような奴だった。でも僕なんかより彼奴の考えの方がよっぽど腐ってやがると思う。
共産とか無政府主義とかそう云う事では無く……何だろう。
でも、日本は亜細亜を解放しようとしているのに、それを良くないと言い張るのだ。とんでもない。
然もだ!彼奴は天皇制を廃止せよと言い張る!流石に此れは如何なものか。臣民として今日まで何を勉強したのか問いたくなる。
もっとも、僕が特高に突き出してやったけど。
思い出すだけで忌々しい……だけど山本君は別に関係ないのだ。だから八つ当たりなんてしないし、話そうともしない。きっと時代は違うからね。
そういや僕の友人にそういった思想だとかを全く考えない、主張のない人間が……いた、っけ?まぁいっか。
「そろそろ着きますよ!」
信号停止すると山本君は言った。
え、よく見ると彼の詰襟のカラーただ上を白で塗ってるだけ……?
経費削減とか?思えば詰襟そんな居なくない?何着てるの皆制服。
信号が変わり我々は歩き出す。
「ここのビルの三階っすね」
「はぁ〜」
たっか。ビルたっか。いやでももっと大きい建物沢山あったな。
そういや恐慌前アメリカで三階以下の建物は全て更地同然、みたいな事を話した奴等がいたらしい。
なら日本はほとんど更地だな。
「俺のバ先……バイト先の、店長?的な人もラインで聞いたら歓迎って返ってきたんで!」
「うん」
バイトの店長ってのは分かったよ。
何やら謎の扉?の前に待つことになった。山本君は横についているボタンを押す。
それにしてもこの構造似たようなのを東京で見た事が……あ!
「昇降機!!エレベーターだ!」
「あ、そうだ、うん確かに」
何に納得したのかは疑問だが、彼には今更なのだろう。
でも凄いじゃん。そんなに見かけたことないし。
『一階です』
「喋った!」
「ふふっ」
「すっげー!!」
新しい物が好きな僕には堪らない!然も乗ったら全自動なんだ!東京、いや未来って凄いな〜
「着きますよ!」
『三階です。ドアが開きます』
僕は新しい出会いに胸をわくわくさせた。
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アリてる.冷花(プロフ) - すにすなさん» コメント有難うございます!私も覚えてますよ!!本当に嬉しいです頑張ります! (4月3日 11時) (レス) id: 39e2327944 (このIDを非表示/違反報告)
すにすな(プロフ) - 昔Riruriという名前でコメしたものです。このお話ずっと大好きです。これからも楽しみにしています! (4月3日 11時) (レス) @page20 id: b675f659fc (このIDを非表示/違反報告)
アリてる.冷花(プロフ) - さくさくパンケーキさん» コメント有難うございます。本当ですか!?とても嬉しい限りです。更新頑張ります! (2022年3月10日 17時) (レス) @page7 id: 39e2327944 (このIDを非表示/違反報告)
さくさくパンケーキ(プロフ) - とっっっても面白いです!占ツクの中で一番です!!更新楽しみにしてます! (2022年3月10日 16時) (レス) @page7 id: c7ea56a150 (このIDを非表示/違反報告)
アリてる.冷花(プロフ) - ひろぽにうむさん» コメント有難うございます。更新頑張ります! (2022年3月10日 16時) (レス) id: 39e2327944 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アリてる.冷花 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/wuashyt8942/
作成日時:2022年3月8日 17時