第七話：上弦との攻防 ページ9
斬り裂かれた腹部から、勢いよく出血が起こる。
先ほどの傷とは打って変わり、呼吸によって止血をしても、その血がすぐに
止まることは無かった。
「そのままだと……死ぬぞ……」
上弦の壱が言葉を発するのと同時に、振り下ろした刀の切っ先を翻し、
そのまま、技を繰り出す。
『炎の呼吸・弐ノ型――昇り炎天』
「やったの、お前だろうがッ！！！！」
目の前にいる『鬼』の、身勝手極まりない発言にキレながら、技の発動と共に、
後ろに飛び下がる。
だが、上弦の壱には攻撃が寸前で届かず。
上弦の壱は、そのまま、何事も無かったかのように、ゆっくりと口を動かした。
「……『壊れた体』で、よく戦う……お前が、今までしてきた鍛錬は……
それほど……過酷なモノだったか……」
ゆっくりと発せられた、その言葉に、自分の体が思わず固まった。
「……何のことだ」
「気付いて、いるのだろう……お前の体は……あと、数年と持たない……
お前の体からは、死にゆく人間の匂いがする……」
その言葉に、じわりと、刀を握る手に汗が滲んだ。
「だから何だ、お前には関係の無いことだろう」
「いや……関係は、ある……」
上弦の壱は、当然のことを言うかのように、言葉を紡いだ。
「……お前も、鬼になる気は……あるか……」
言葉が紡がれたと同時に、一気に上弦の壱の間合いに入る。
下から一気に斬り上げようと、刀の切っ先を一気に翻した。
『炎の呼吸・弐ノ型――昇り炎天』
黒刀の切っ先が、上弦の壱を捉えて、素早く斬り上げられる。
だが、その切っ先は、上弦の壱によって、指先で捕まえられていた。
「やはり……素晴らしい……その速度……その剣技……
称賛に、値する……」
「褒めても、何もでねェよ！！！ 失せろ！！！！」
上弦の壱に指先で止められている刀を、地面を蹴って引き離す。
自分の刀は、予想外にもあっさりと抜けた。
(完全に、話の猶予を取られてる……！)
「お前は、きっと……血反吐を吐いて……手に、血を滲ませて……
鍛錬をしてきたのだろう……」
話しながら、上弦の壱が、自分の左腕を掴んだ。
「その体が良い証拠だ……鍛錬の成果が出ず……無理を押して、
鍛錬を続けていたのだろう……」
何故だか、体に力が入らない。
「だが、もう良い……そんなことを、気にする必要は無くなる……」
自分の左腕が、音を鳴らした。
「お前も、鬼となれ……――『日輪』」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 817人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
神亜(プロフ) - とても面白です！ 日輪ちゃんはどうなってしまうのか...とても気になります！ 更新、無理しないで頑張ってください 応援してます 続けぇぇ (2020年5月30日 9時) (
レス) id: 7ae973559f (このIDを非表示/違反報告)
し - 続いてええええ！ (2020年4月14日 23時) (レス) id: 584f216f44 (このIDを非表示/違反報告)
青鈴 - とてもとても好きです！！私が頭のなかで思い描いてた話と近いので見ていて楽しいです！ (2019年9月13日 16時) (レス) id: 681f1f52c6 (このIDを非表示/違反報告)
大福もやし - 今後の展開が、気になります (2019年9月9日 3時) (レス) id: 46531bb7b7 (このIDを非表示/違反報告)
玲音ﾁｬﾝ - めっちゃ好きですぅぅぅぅぅぅぅうぅぅうう!!!!!!更新頑張って下さい！応援してます！ (2019年8月27日 21時) (レス) id: b000323d2b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：露草 | 作成日時：2019年7月11日 3時
