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第二話:悪夢の前の平穏 2 ページ4

煉獄邸の門から出てきた千寿郎は、箒を持って、こちらに駆け寄って来た。


「お久し振りです! お元気にしていらっしゃいましたか」

「この通り、元気にやってるよ。千寿郎は、変わりないか?」

「はい! お陰様で!」


嬉しそうに、年相応に笑う千寿郎を見て、一つ安堵の溜め息を吐く。


「今日は、何かご用事ですか? 今、兄上は出払っていますが……」

「あぁ、そうだった。今日は、届け物をしに来たんだよ。
 家に間違って届いたから」


千寿郎は不思議そうに、「届け物……?」と小首を傾げた。


「ほら、これだ」


そう言って、持って来た藤色の風呂敷に包まれた桐箱を、千寿郎に手渡した。


「うーん……何でしょう……? 兄上が頼んだ物かもしれませんから、
 よろしければ、家に上がりませんか? 兄上も、きっと喜びます」


ほわほわと幸せそうに笑う千寿郎の頼みを断れず、言葉に甘えて、
そのまま、屋敷に上がることにした。



「言い忘れてしまいましたが……わざわざ、届け物をしてくださって、
 本当に、ありがとうございました。飛脚に預けても良かったでしょうに……」


「いや……うん……それは、まぁ……あれだよ。
 久し振りに会いたかったし……」


「本当ですか!!? うわぁ! 嬉しいです!
 僕もずっと、日輪さんに会いたかったので!!」


「うっ……!」



カラスに言われたので、仕方なく歩いて来たとは、流石に言えず、
出されたお茶を飲みながら、何とか笑って誤魔化した。


(ごめん、千寿郎……!)


今度来るときは、カステラでも買ってこよう。
そう考えてしまう程には、自分の良心が痛んでいる気がした。


「あ、そう言えば。桐箱の中身のことですが……」


千寿郎がそう言いかけた時、玄関の戸が、ガラガラと開く音がした。
その次に聞こえたのは、快活な、その男の性格を表すような大きな声だった。




「千寿郎、ただいま帰った!!!!」




その声は、現・炎柱であり、自分の兄弟弟子でもある、煉獄杏寿郎のものだった。

第三話:悪夢の前の平穏 3→←第一話:悪夢の前の平穏



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 黒死牟   
作品ジャンル:恋愛
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神亜(プロフ) - とても面白です! 日輪ちゃんはどうなってしまうのか...とても気になります! 更新、無理しないで頑張ってください 応援してます 続けぇぇ (2020年5月30日 9時) (レス) id: 7ae973559f (このIDを非表示/違反報告)
- 続いてええええ! (2020年4月14日 23時) (レス) id: 584f216f44 (このIDを非表示/違反報告)
青鈴 - とてもとても好きです!!私が頭のなかで思い描いてた話と近いので見ていて楽しいです! (2019年9月13日 16時) (レス) id: 681f1f52c6 (このIDを非表示/違反報告)
大福もやし - 今後の展開が、気になります (2019年9月9日 3時) (レス) id: 46531bb7b7 (このIDを非表示/違反報告)
玲音チャン - めっちゃ好きですぅぅぅぅぅぅぅうぅぅうう!!!!!!更新頑張って下さい!応援してます! (2019年8月27日 21時) (レス) id: b000323d2b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:露草 | 作成日時:2019年7月11日 3時

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