第十五話：日輪の部屋 ページ18
煉獄杏寿郎・視点
日輪が住んでいた借り家に着き、大家のご婦人に挨拶をした。
あの後、泣き疲れた千寿郎を寝かせた自分は、何とか、日輪が住んでいた借り家に
荷物を取りに来ていた。
「ごめんなさいねぇ、遅くなってしまって。日輪ちゃんの部屋の合い鍵は、
ウチのお婆ちゃんが持っているものだから……」
「いえ！お気になさらず！！こちらこそ、約束の時間に来れず、
申し訳ありません！！」
大家のご婦人が、「お互い様ねぇ」と笑いながら、日輪が住んでいたという借り家の
鍵を開けてくれた。
「しかし、まぁ……日輪ちゃんが、『事故』で死んじゃうなんてねぇ……
あんなに、良い子だったのに……」
「…………」
大家のご婦人の言葉に、何も言えず、沈黙で返してしまう。
そうこうしている内に、カチャリと、日輪が住んでいた借り家の鍵が開いた。
「ここが、日輪ちゃんが住んでいた部屋よ。
仕事で空けていることも多かったから、ウチのお婆ちゃんが、いつも整理していたの。
数日、放置されていた部屋に見えなくても、気にしないで頂戴ね」
「お気遣い、ありがとうございます！！」
玄関の引き戸が、大家のご婦人によって大きく開かれ、部屋の中がよく見えるようになった。
大家のご婦人は、「何かあったら、言ってください」と言って、その場を後にした。
(此処に、日輪は住んでいたんだな……)
玄関が開けられた日輪の部屋は、あまり物が無く、綺麗に整理されていた。
ただ、その部屋の奥からは、鬼殺隊で、酷く嗅ぎ慣れた『匂い』がした。
「…………日輪、入るぞ」
その部屋の襖の前に立って、その部屋の主であった日輪に声を掛ける。
嫌な予感から、緊張によって、指先が細かく震えた。
「…………これは……」
日輪の部屋は、一言で表せば、『凄惨』だった。
寝室と思われる部屋には、敷かれたままの布団と、大量の手拭いが散乱し、大量の血痕が
付着している。
その血液の痕は、布団の近くにある畳や、押し入れの襖にまで及んでおり、その壮絶さを
激しく物語っていた。
『じゃあ、行ってくる。お前も死ぬなよ』
日輪との最後の会話を、唐突に思い出す。
あの時、日輪の喉からは、僅かに、『風が逆巻くような音』が聞こえていた。
その意味が、今になって、ようやく理解できた。
――日輪の体は、既に、限界だったのだ。
「ひ……わ…………」
喉が、酷く渇いていた。
終わり
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神亜(プロフ) - とても面白です！ 日輪ちゃんはどうなってしまうのか...とても気になります！ 更新、無理しないで頑張ってください 応援してます 続けぇぇ (2020年5月30日 9時) (
レス) id: 7ae973559f (このIDを非表示/違反報告)
し - 続いてええええ！ (2020年4月14日 23時) (レス) id: 584f216f44 (このIDを非表示/違反報告)
青鈴 - とてもとても好きです！！私が頭のなかで思い描いてた話と近いので見ていて楽しいです！ (2019年9月13日 16時) (レス) id: 681f1f52c6 (このIDを非表示/違反報告)
大福もやし - 今後の展開が、気になります (2019年9月9日 3時) (レス) id: 46531bb7b7 (このIDを非表示/違反報告)
玲音ﾁｬﾝ - めっちゃ好きですぅぅぅぅぅぅぅうぅぅうう!!!!!!更新頑張って下さい！応援してます！ (2019年8月27日 21時) (レス) id: b000323d2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：露草 | 作成日時：2019年7月11日 3時
